FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

(ご報告)10/16 2020年世界食料デーイベント

 

10月16日、「世界食料デー」を記念し、当事務所はIFAD、WFP日本事務所との共催で、オンラインイベントを実施しました。当日は、学生や民間企業の方々、政府機関や国際機関、そして市民社会組織の皆様など、あわせて175名にご参加いただきました。

冒頭、鷲尾英一郎外務副大臣より、開会のご挨拶をいただきました。鷲尾外務副大臣は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で世界の食料安全保障に深刻な影響が出る中、日本が積極的に必要な支援等を行っていること、いま世界規模での食料システムの再構築が求められていること、そして、2021年に開催予定の国連の食料システムサミットは、まさに時宜を得たものであり、日本としてもこれに向けて様々な取り組みを行っていることを述べられました。そして、食料システムを日々支えている方々に感謝の意を表されました。

次に、FAO駐日連絡事務所 日比絵里子所長より、今年の世界食料デーに関しての紹介がありました。日比所長は、世界で推定6億9000万人が飢餓に陥っているのみならず、あらゆる形態の栄養不良の課題や、健康的な食事を経済的に入手できない人が世界で30億人もいる現状を説明し、この背景には構造的な問題があり、解決には、食料の生産から消費に至るフードシステム全体の課題ととらえ、それを持続可能なものに変革する必要性を強調しました。

続くパネルデスカッションでは、日本担当FAO親善大使の国谷裕子氏がモデレーターを務められ、農林水産省より大澤誠 農林水産審議官、IFADグローバルエンゲージメント・パートナーシップ・資金調達部ロン・ハートマン部長、WFP日本事務所 焼家直絵代表、そして当事務所長日比絵里子がパネリストとして参加しました。はじめに国谷氏より、新型コロナウイルス感染症の大流行が世界の食料供給などに影響を及ぼし、持続可能な開発目標(SDGs)が逆風にさらされる中、各機関の行う支援の実態や取り組みについての問いかけがありました。

先日ノーベル平和賞の受賞が決まったWFPの焼家日本事務所代表は、飢餓をなくすことが世界の平和につながると述べ、新型コロナウイルス感染症の影響で今年は急性の栄養不足人口が80%も増加するとの推測が出されている中、支援対象者の拡大、都市部や家庭への食料配給、そしてとくに女性などの脆弱な立場にある人々への支援を拡充・強化していると報告されました。

IFADのハートマン部長は、新型コロナウイルス感染症の大流行は、特に小規模生産者をリスクに晒していると述べられたうえで、そのような生産者を支援するための、新たな基金「農村貧困層刺激策ファシリテイ (Rural Poor Stimulus Facility)」を立ち上げ、農業投入材や市場アクセス、デジタル農業、ファイナンスなどの面での支援を進めていることを紹介されました。また、多くの小規模生産者は、地域の食料の安定供給や経済に英雄的な役割を担っており、このようなフードヒーローを現在の危機下で支えることは、食料安全保障に欠かせないと述べられました。

FAOの日比 駐日連絡事務所長は、感染症からの回復を含めた持続可能な食料生産とフードシステムの変革を進めるうえでも、小規模な家族農業が果たしうる役割が再評価されており、また、そのような農業を支援することに重点が置かれるようになってきていることを強調しました。

日本国内の視点から、大澤誠農林水産審議官は、新型コロナウイルス感染症大流行を受けて、需要の落ち込みや新たな流通システムの開拓の必要性に迫られている状況が見受けられるとし、SDGsの観点からも、環境や健康を配慮する志向に対応した生産体制の構築への契機にもなり得ると述べられました。また、世界の栄養問問題などには、地産地消など日本の考え方や経験を活かして取り組んでいきたいとのコメントもいただきました。

パネルディスカッションの後には、今年のFAOのフードヒーローの広報キャンペーンにご協力いただいた、丹波篠山市立西部学校給食センター・栄養教諭の田端廣美様より、ビデオメッセージをいただきました(写真)。学校給食を生きた教材とし、子どもたちの健やかな心と体の成長をかぐ組む給食づくりをしていきたいとの思いをご共有いただきました。また、国際農林業共同協会の森麻衣子様からもコメントをいただき、同協会の実施する持続可能かつ多様な食のあり方の普及への取組等のご紹介をいただきました。

イベントの最後には、中村勝宏FAO日本担当親善大使より閉会のご挨拶をいただきました。中村氏は、世界の食料生産を支え、フードヒーローともいわれるべき小規模農家が、現在新型コロナウイルス感染症の影響を受けて厳しい現状にあるという各登壇者からの報告をあらためて振り返ったうえで、消して立ち止まることなく、さらなる情熱と英知をもって飢餓と栄養不良の撲滅に向かって毅然と立ち向かっていかなければならないと力強く述べられました。

新型コロナウイルス感染症の大流行の影響が、世界の食料安全保障やフードシステムに携わる人々の生計や暮らしを揺るがす中で迎えた今年の世界食料デーは、これまで以上に食の課題を身近なものとしてとらえ、食とそれを支える人々の働きが、いかに重要であるかを確かめ合い、また今必要とされる具体的な行動について話し合う機会となりました。


2020年 世界食料デーイベント /World Food Day Event 2020

世界食料デー