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FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

12/25/2017

ブラジルの世界農業遺産(GIAHS)認定等に向けた国内招へい研修  研修参加者がGIAHS認定地域を訪問

[報告]

世界農業遺産(以下、GIAHS)の申請プロセスや認定後の活用について理解を深めてもらい、GIAHSの普及啓発や人材育成を通して、貧困削減への貢献を目指すプロジェクト(「開発途上国における世界農業遺産人材育成事業」)が農林水産省の支援のもと、今年から実施されています。11月27日~12月2日の日程で来日したブラジルの政府関係者3名及びGIAHS候補地代表者4名の計7名が、東京でのイントロダクション・セミナーを終えた後、日本のGIAHS認定地のうち岐阜県と石川県を訪れました。

最初に訪問した岐阜県は2015年、「清流長良川の鮎」がGIAHSに認定されました。流域に約86万人が生活しながらも、その清流を保つ長良川と、人々の文化に深く根付く鮎を中心としたシステムです。参加者たちは、岐阜県内水面漁業研修センターや岐阜県魚苗センター美濃事業所などを訪れ、GIAHS申請に向けてのコミュニティ強化や、認定後の保全、産業活性化、人材育成などの活動の、中心的役割を担う方々から話を聞きました。認定後、岐阜では、既存の仕組みや施設を活かしたGIAHSの保全・活用が多方面で行われており、研修では、実際に見学し、担当者から直接話を聞きながら学ぶ機会もありました。

 

次に訪れた石川県能登地域の「能登の里山里海」は2011年、新潟県佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」とともに、日本で初めてGIAHSに認定されました。能登では、GIAHSを活用した農産物のブランド化をはじめ、地域の伝統的な農林水産を活かした観光などが盛んに行われています。地域振興の取り組みとして農村民宿を視察した際、農村民宿群の事務局長が参加者に「一人でも『農業』は可能だが、住みよい『農村』は一人では実現できない」と語りかけると、その言葉に涙を浮かべる参加者の姿もありました。また、同県では20人の専門家を交えたブラジルのGIAHS候補地に関する討議も実施され、候補地代表者にとって、申請書作成への現実的な助言を得る場となりました。

最終日には東京で、FAO本部のGIAHSコーディネーターより、具体例を挙げながら申請手続きについて説明がありました。すべての研修日程を終えた参加者は「『農業遺産』として今までは伝統的農法だけに注目していたが、研修によってGIAHSに対する理解が深まった」、「帰国後は、住民の結束を高めて行政を巻き込み、農業の文化・経済的側面や、環境との関わり、困難を乗り越えた歴史や、現在の課題と対応策など、ストーリーを明確にした申請書を提出したい」などと研修の手応えを話しました。

GIAHSは、2002年にFAOが開始したイニシアティブで、その認定地域は、2017年12月現在 、19か国45地域に広がっています。日本は、先月認定された宮崎県大崎地域が加わり、認定地域は9つとなりました。