FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

スペイン・バレンシアのオルタがFAOの世界農業遺産に認定

「バレンシアのオルタ」の上空からの眺め
03/12/2019

 数多くの鳥、魚、植物が生息する、持続可能な灌漑のモデル

ローマ ー バレンシアの「オルタ」(庭)として知られる1 200年の歴史ある農漁業地が、11月27日、国連食糧農業機関(FAO)が管理する世界農業遺産(GIAHS)に新たに認定されました。

この認定地ではスペイン最大の湖(アルブフェラ湖)が維持され、8世紀に設計された、バレンシア市周辺の数十の市町村にまたがる複雑な重力灌漑ネットワークによってトゥリア川による灌漑が形作られています。

「バレンシアのオルタは非常に貴重です。ここで育てられる作物の半分は、この地域から消滅するリスクがあります。この農業システムは農民と漁業従事者の両方を支えています。この地の柑橘類は、高い品質と多様性により、地理的表示(GI)制度に登録されています。さらに、バレンシアのオルタは、希少種、固有種、または絶滅危惧種に分類される多種多様な鳥、魚、植物の生息地となっています」とFAOの遠藤芳英GIAHSコーディネーターは述べました。

オルタの豊かさ

オルタは、6 000の小さな農業用小作地(それぞれ最大1ヘクタール)と何千もの農地区画で構成されています。 この地域の約80%は、果物と約50の野菜作物の栽培に使用されています。

野菜、特にタマネギ、アーティチョーク、カボチャ、レタスの栽培には、約4 000ヘクタールが使用されています。 オレンジ、マンダリン、タイガーナッツは認定地域の北部の主要作物であり、また南部地域では何世紀も前から生息する在来種のイネが2 000ヘクタールに及んで栽培され、アルブフェラ自然公園内にまで広がっています。

総面積2 800ヘクタールのアルブフェラ自然公園内には、スペイン最大の湖があり、イベリア半島で最も重要な湿地帯の1つです。 それは漁業従事者と稲作農家の両方に食物や他の便益をもたらします。

水と肥沃な土壌への十分なアクセスにより、農家は年に最大3回収穫ができます。

数多くの在来種と土地の小区画分割による作物の多様化は、この地域のレジリエンスを高める鍵となってきました。

農民は、水と土壌資源を保全する持続可能な農業技術を使用しています。アンダルシアの溝と水利空間を最初に設置したイスラムのコミュニティによって構築された灌漑システムは、何世紀にも渡って慎重に保存され、今日まで機能しています。

この地域の独特な水管理システムのもとでは、農民は水利用者協会(WUA)に属し、何か問題が起こった際には独自の規則や規制を参照します。また、水の法廷という、水使用に関する紛争を解決するためのスペインで最も古い司法機関があります。

砂丘、浜森林、湖、稲田があるこの認定地には、鳥、魚、800種以上の植物が生息し、その多くはヨーロッパとスペインの両方で希少種、固有種または絶滅危惧種に分類されています。

バレンシアのオルタは、スペインで4つ目のGIAHS認定地です。 また欧州環境庁は、地中海地域と大都市の園芸保護地6つのうちの1つとして、この場所を認定しています。

スペイン国内では他に、アニャナの塩生産、セニアのオリーブ畑(タラゴナ県)、アクサルキアのレーズン生産(マラガ県)の3つがGIAHSとして認定されています。

 

原文プレスリリースはこちらから(英語)
Spain’s Horta of Valencia wins recognition on FAO’s global agricultural heritage list
http://www.fao.org/news/story/en/item/1252906/