FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

FAOアジア・太平洋地域事務所の「模範農業者賞」を日本人女性が受賞

FAOアジア・太平洋地域事務所の模範農業者賞を受賞する大津愛梨さん(熊本県阿蘇郡南阿蘇)
06/10/2017

阿蘇の風景を守りながら無農薬米を育てる大津愛梨さんが「模範農業者賞」を受賞

横浜 - 国際連合食糧農業機関(FAO)アジア・太平洋地域事務所は、毎年、世界食料デーに合わせて、優れた功績を有するアジア・太平洋地域の模範農業者を表彰しています。今年は阿蘇の風景を守りながら無農薬米を育てる大津愛梨さん(熊本県)が選ばれ、10月16日にタイのバンコクで行われる世界食料デーの式典において、タイ王国のシリントーン王女から「FAOアジア・太平洋事務所賞」が授与されます。日本人が受賞するのは2011年以来、二度目です。

大津さんは、ドイツの大学院を卒業後、夫の祖父と叔父が農業を営む熊本県・南阿蘇に移住。ドイツで農業者がエネルギーも作っている姿を目の当たりにし、「日本もそのような社会にしたい」との思いから、NPO法人九州バイオマスフォーラムを立ち上げ、阿蘇の草原や家畜糞尿を使った再生可能エネルギーの普及と啓発活動に取り組んでいます。また、2011年の福島原発事故をきっかけに、農家や林家にメリットがある再生可能なエネルギー利用を目指して里山エナジー株式会社を設立、これを事業化しました。

さらに、女性農家として、また地域の女性リーダーとして大津さんは、全国的な女性農業者組織である「田舎のヒロインズ」の理事長に就任。“日本の田舎をつなぐ”をモットーに、田舎のあり方や農を営む女性の生き方を模索・提案しています。昨年発生した熊本地震では、被災地・阿蘇地域の「創造的復興」を目指し、阿蘇の美しい風景を見ながら、地元の旬な食材が楽しめる「レストランバス」もプロデュースしました。FAOは次世代に継承すべき重要な農林水産業システムや生物多様性、農業景観を有する地域を「世界農業遺産」に認定しています。大津さんは農家代表として、阿蘇の世界農業遺産認定に貢献しました。

 

世界食料デー2017「移住者の未来に変革を」

今年の世界食料デーのテーマは、「移住者の未来に変革を~食料安全保障と農村開発への投資~」です。移住労働者や難民、庇護(ひご)申請者、国内避難民などを含む「人の移動」に焦点を置いています。特に開発途上国では、貧困や飢餓、紛争、気候変動の影響などが強制・困窮移住の要因となる一方で、移住にはプラスの面もあります。人道的で秩序ある方法で管理された場合、移住者は移住先に新たな労働力を提供するなど、地域の活性化や経済成長に貢献します。

留学先のドイツを経て南阿蘇に移住した大津さん。ドイツに学び、食べ物と再生可能エネルギーを作り、地域の活性化を牽引しています。大津さんのような農業者の活躍が、日本のみならず、アジア・太平洋地域に広がっていくことが期待されます。