FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

熊本県の大津愛梨さんが「模範農業者賞」を受賞、農村女性の声を上げることに貢献

大津愛梨さん、バンコク授賞式にて。
16/10/2017

~世界食料デーに、アジア太平洋地域の移住者の未来および農村開発に光を当てる~

アジア太平洋地域の農業発展に貢献した人を顕彰する国連食糧農業機関(FAO)の「模範農業者賞」に、熊本県阿蘇で農業を営む大津愛梨さんが選ばれ、10月16日の世界食料デーの日に、バンコクで授賞式が行われました。

今年の「模範農業者賞」には、アジア太平洋地域より、大津愛梨さんのほか、アフガニスタン、インドネシア、ネパール、タイより合わせて5人(女性4名、男性1名)が選ばれ、FAOのアジア太平洋地域事務所を代表して、FAOアジア太平洋地域のゼロ・ハンガー特別大使(UN FAO Special Ambassador for Zero Hunger in Asia and the Pacific)を務めるタイのシリントン王女から賞状が授与されました。

大津さんは農村で就農すると決めた際、家族や友人ら皆に「なぜ?」と聞かれたと言います。彼女の答えは「なぜ、だめなの?」でした。

ドイツで生まれ、東京都心で育った大津さんは、愛情と田舎での幸せを求めて、都会から離れるのにためらいはありませんでした。一人っ子育ちの大津さんは大家族に憧れ、子育てに大都市は向いていないと考えていました。

そのため、結婚して新しい人生のステージに移るとき、農家出身の夫に、ルーツに戻ることを勧めました。大津さん夫婦はドイツで景観計画の修士号を取得した後、最初は東京に戻りましたが、夫の両親は高齢のため、息子が東京からは程遠い南部の一ヘクタールの土地を受け継いでくれることを望んでいました。大津さんはまたとないチャンスと思い、夫婦で就農することを決めました。

義理の叔父さんの協力を得て、大津さんは有機米の生産から始めました。叔父さんのあか牛の飼育も手伝いました。また、大津さんは景観づくりの知識を活かして、再生可能エネルギーの促進に尽力し、現在は他の農家への支援も行っています。実際、NPO法人九州バイオマスフォーラムを立ち上げて、理事長として農村振興のために再生可能エネルギーの普及と啓発活動を行っています(現在は再生エネルギーの利用を目指す会社を設立し、事業化しています)。日本の農家の平均年齢が70歳に近づいていることから、大津さんは将来の食料安全保障には科学技術が鍵だと考えています。

大津さんの声はとても力強く、日本ではよく知られています。彼女は農家のために声を上げ、農業に従事する女性がさらなる声を上げることができるように啓発活動をしています。2016年の熊本地震以降、彼女の声はさらに大きなものとなりました。農村振興を最大限に行うために複数のプロジェクトを立ち上げました。一つは、子どもたちに食料と農業について体験して、考えてもらう「リトルファーマーズ養成塾」です。このプロジェクトは環境省の生物多様アクション大賞を受賞しました。また、バスで被災地を巡りながら車内で地元の新鮮な食材を使った料理を楽しめる観光プロジェクト、「レストランバス」を走らせています。

大津さんは阿蘇の世界農業遺産(GIAHS)認定の際にも一役買い、「景観を守り、より良くするためのどんなに素晴らしいプランがあっても、農家なしには実現できません」と力強く述べます。農家の生活は危機に瀕しているため、農家自身がこのメッセージをはっきりと伝えていくべきで、「農家の声は聞いてもらわないといけない」と大津さんは言います。私たちは今日、活動家であり、母であり、移住者であり、農家である大津さんの力強い声を聞きました。

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