FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

サバクトビバッタQ&A

● サバクトビバッタの特徴

サバクトビバッタは、短い触角を持つバッタ(Acridoidea)の1種です。 環境要因に反応して、成虫の密集した群れ(adult swarm)や羽のない幼虫(hopper band)を即時に形成することがあります。生息環境などにより、行動や習慣を変える能力があり、また、長距離を移動する能力があります。

● サバクトビバッタの影響を受ける国・地域

通常、バッタの行動が不活発な時期には、年間降雨量200mm未満のアフリカの半乾燥・乾燥地帯の砂漠、中近東および南西アジアでのみ、サバクトビバッタが見られます。 これは約1600万㎢の領域を占め、モーリタニアからサハラ、アラビア半島、インド西部に至る約30か国に及びます。

● サバクトビバッタの被害

サバクトビバッタは、野生の植物、樹木、草などの大量の植物を食べることができます。家畜の飼料を草などの植物に依存しているアフリカの何百万人もの牧畜民の健康と生存にとって、これらの資源は不可欠です。 同時に、食用の農作物や果実も生活に欠かせません。 そのためサバクトビバッタは、人々から、そして生計手段として人々が依存している家畜から事実上食料を奪い取ってしまうのです。 これは地域社会の食料安全保障に甚大な被害をもたらし、人々は種子や動物などの家財を手放さざるを得なくなることがあります。

● サバクトビバッタの群れの大きさ

成虫の群れ(swarm)は1㎢未満から数百㎢まで様々です。 群れの1㎢あたり、4 000万から8 000万のサバクトビバッタが密集している可能性があります。.

● サバクトビバッタの食料摂取量

成虫のサバクトビバッタは、毎日、自分の体重とほぼ同量の約2グラムの食料を消費します。 米国農務省(USDA)によると、4 000万の1 ㎢の小さい群れでも、1日で約3万5 000人の消費する食料と同量を食べることができると推定されており、これは1日あたり平均2.3 kgの食料を摂取するという計算に基づいています。

サバクトビバッタは多食性で、葉、芽、花、果実、種子、茎、樹皮を摂取します。トウモロコシ、モロコシ、大麦、米、サトウキビ、綿、果樹、野菜、牧草、雑草など、ほぼすべての作物と植物が彼らの食料に含まれています。

● サバクトビバッタの増殖

サバクトビバッタは、3か月ごとに新しい世代となってその度に約20倍に増殖することができます。つまり、半年でサバクトビバッタの集団は400倍の数に成長し、1年以内に最初の16万倍の数になる可能性があります。

サバクトビバッタのメスは、主に砂の土壌の表面下10~15cmの深さで、卵鞘に卵を産みます。単独で生息するメスは一つの卵鞘に約95〜158個の卵を産みますが、群れで生息するメスの場合は通常80個未満です。メスは生涯に少なくとも3回、通常は6〜11日おきに産卵することができます。 1㎡で最大1 000個の卵鞘があることがわかっています。

● サバクトビバッタの行動

サバクトビバッタは通常、風で約16〜19 km/hの速度で飛行します。 群れは日の出から約2時間後に離陸し、日中に飛行、日没直前に落ち着きます。 1日で最大130〜150km、あるいはそれ以上、飛行できます。 また、バッタは長時間、空中に留まることができます。

サバクトビバッタの個体数が増加し、より密集すると、彼らは個別行動(孤独相)から、集団行動(群生相)に相変異を起こします。 サバクトビバッタの見た目も変化します。孤独相の成虫は茶色ですが、群生相の場合、未成熟な成虫はピンク、成熟した成虫はと黄色となります。 孤独相の成虫は、通常夜に飛びますが、群生相の成虫は日中に飛行します。 このような違いのため、1921年まで、サバクトビバッタの各相は、2つの異なる種であると考えられていました。

● FAOのサバクトビバッタへの対応・取り組み

FAOは一元化されたサバクトビバッタ情報サービスを運用して、被害を受けるすべての国に最新情報を提供し、リスクがある国にタイムリーな警告と予測を提供します。 サバクトビバッタの影響を受けたすべての国がデータをFAOに送信し、FAOはこの情報を気象データ、生息地のデータ、そして衛星データと合わせて分析します。 次に、FAOは進行中のサバクトビバッタの状況を評価し、最大6週間前までに予測を提供し、暫定警告を発します。 1978年以来、FAOは、国ごとに状況を要約し、移動と繁殖の見通しを予測し、月例速報と定期的な情報更新を出しています。

FAOはまた、研修、現地評価ミッションを実施、監視・制御活動を調整するとともに、サバクトビバッタの大発生時の支援も行います。

● サバクトビバッタへ対策の主体

サバクトビバッタの監視・制御活動は、被害国の農業省の主な責任となっています。東アフリカには、サバクトビバッタ制御のための地域組織があり、空中制御活動を支援します。 大発生、蝗害となった場合には、通常各国ドナーやFAOなどの他の国際機関からの外部支援が必要となります。

FAOは、コミュニティや農家ではなく、適切に訓練・装備されたチームのみがサバクトビバッタに対する制御活動をすることを奨励しています。 FAOは、バッタ制御の全側面に関する包括的な研修を提供しています。 また、サバクトビバッタ制御活動に使用される化学農薬は、人間と動物の健康にリスクをもたらす可能性があるため、できる限り生物農薬を使用するよう各国に積極的に働きかけています。

● サバクトビバッタの制御方法

制御活動で一般的に用いられる標準的な対策には3つがあります。

   •従来の農薬

   •生物農薬

   •昆虫成長調整剤

現在、サバクトビバッタの成虫の群れ(swarms)と幼虫の群れ(hopper bands)を制御する主な方法は、有機リン系化学農薬を超低容量(ULV)製剤と呼ばれる少量の濃縮用量で適用することです。その大部分は、車載および空中噴霧器を使用して行われ、背負い式や手持ち式噴霧器で行われる場合もあります。 個体数の急増を抑えるためには、散布などの効果的な制御方法を十分早い段階で実行することが重要です。

現在サバクトビバッタ制御目的には、10種類の化学農薬(および1種類の生物農薬)が、FAOによって召集された農薬審査グループ(Pesticide Referee Group)により、推奨されています。 このグループは、バッタ制御に際してのさまざまな農薬の有効性と環境への影響について、今日の科学に基づいてFAOに助言する独立した専門家団体です。 グループによる使用が推奨されている農薬使用はすべて、それらが使用される国内の法律、規制、および登録に完全に準拠します。

● サバクトビバッタの昆虫食としての可能性

いくつかの国の人々は、大きな網や他の手段を使って、食用にバッタを採集しています。バッタは通常、炒めたり、焼いたり、または茹でてすぐに食べるか、もしくは乾燥して後日食されます。バッタの活動が活発な時期には、バッタ被害を受けた多くの国々の市場で大量のバッタが見受けられ、時にそれらのバッタは動物の飼料としても使用されます。

農薬で殺虫されたバッタには、微量の農薬がまだ残留している可能性があるため、いかなる状況でも摂取は避けるべきです。

東アフリカで進行中のバッタの急増と制御活動の文脈では、生死の状態に関わりなく、バッタは食べるべきではありません。農薬は必ずしもバッタを即時に殺虫するわけではありません。

これらの安全性の問題が要因ではなかったとしても、潜在的な食料源としてバッタを網で捕まえるような提案は現実的な解決策ではありません。 2020年1月にケニアで発見された群れの1つは、縦横40 km・ 60 km(2400㎢)の面積をカバーしていました。

Desert Locust Q&A (FAO)  より