「コメは命」
  コメと私たち

国際コメ年コンセプトペーパー:概要

国際コメ年


国際コメ年のミッションステートメント :
 国際コメ年は、世界の人口の半分以上の人々を養い、数百万人のコメ生産者、加工業者及び取引業者に所得を提供するコメの生産の改善を促進し、この重要な作物へのアクセスを促進するものです。コメを中心とする持続的なシステムの発展は、飢餓と貧困人口を減少させ、環境保護や「コメ」が「命」である現在及び将来世代のよりよい生活に貢献するのです。


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国際コメ年のテーマである「コメは命」は、基礎的食料としてのコメの重要性を反映するとともに、コメを中心とするシステムが、食料安全保障、飢餓の緩和及び改善された生活にとって必須であることを認識するものです。

アジアだけでも、20億人以上が、エネルギー摂取の60〜70%をコメから得ています。コメは、アフリカにおいては最も急速に普及している食料であり、増加する低所得食料不足国では、食料安全保障上重要となっています。世界のコメの約80%は低所得国の小規模農民によって耕作されており、コメを中心とする生産システムや収穫後処理などに10億人近い人が携わっています。このため、効率的で生産的なコメを中心とする生産システムは、特に農村においては、経済開発と生活の質の改善にとって必須となっています。

 コメの生産性を向上させることは、約8.4億人に影響をもたらしている現在の許容できない水準の飢餓人口の撲滅に貢献するものです。しかし、コメの生産は、コメの単収の伸びの低下、自然資源の枯渇、労働力不足、ジェンダー問題、制度の不備、環境汚染などの深刻な制約に直面しています。


コメを中心とするシステム

アジアを生誕地とするコメは、いまや113カ国、南極を除く全ての大陸で栽培されています。コメは幅広い土壌湿度の下でも、水の多い地域から乾燥地でも、あるいは異なる土壌条件下でも生育します。コメは下記の食料安全保障、経済開発及び環境などの重要な側面で多様な役割を果たしています。

  • 栄養:開発途上国全体で、コメはエネルギー供給量の27%、蛋白摂取量の20%を提供しています。

  • 水と土地管理:コメを中心とする生産システムは、利用可能4なすべての水・土地資源を生産的に使用することを可能とします。急斜面では棚田により耕作が可能であり、土壌侵食や地すべりの防止、洪水のコントロールのほか、雑草の生育を最小限に食い止め、水の濾過と地下水の補充を行います。また、冠水の条件下では、土壌における有機物の蓄積を可能とします。

  • 雇用と所得:コメは、アジア・アフリカの約1億の家計の主要な所得源です。幾つかの国では、コメの輸出に大きく依存しています。さらに、コメの加工、市場への販売、調理などで農村の生活を支えています。その他の農村在住者もまた、コメの生産や収穫後処理に使用される農機具の生産や販売などから収入を得ています。

  • ジェンダー:女性と男性は、農業上の異なる知見や知識を育んでいます。女性は、コメ生産や収穫後処理活動の面で重要な役割を果たしています。しかしながら、女性は、信用、農業投入財、販売施設、普及サービスや情報へのアクセスがより少なく、フィールドレベルでも改善されたコメの生産からの恩恵を享受しないことが多くなっています。

  • 科学:農民は、改良技術により、限られた土地で、少ない水、労働力、農薬の必要量で、より多くのコメを生産できるようになりました。ゲノム研究が、高収量・病害虫耐性のコメ品種の開発に携わる育種家に役立てられています。遺伝子工学の成果である「ゴールデンライス」は高ビタミン含有で、バイオセーフティー面でも評価を受けています。総合的作物管理システムが、生産費や環境への負の影響を減少させつつ、効率を高めることに役立っています。

  • 経済政策上の課題:都市の消費者は、特に低価格という点で、世界のコメ貿易の拡大による恩恵を最も受けています。その一方で、開発途上国の小規模・低所得農民はこうした変化の矢面に立たされています。開発途上国では、小規模生産者の困難を緩和させながら、より効果的な資源配分によりもたらされる利益をいかに増大させるかという課題に直面しています。

課題と機会

 国際コメ年は、コメやコメを中心とする生産システムの持続的な開発に影響を及ぼす増大する複雑な問題の解決に向けた集合的なアプローチを活用する重要な機会となります。

  • 食料安全保障と栄養の改善:コメの栄養価は、加工と調理技術の改善、高い栄養価を有する品種の使用、ビタミンやミネラルの強化などの工夫によっても改善できます。食料安全保障は、コメを中心とする生産システムの中で補完的な作物、畜産及び漁業を振興することによって向上できます。国際コメ年は、バイオテクノロジーの責任ある利用を支援するためのインフラの整備や、コメの生物多様性の保全とコメの生産性や質の向上を図る必要性への認識の向上のため関係国を支援しています。

  • コメを中心とする生産システムの向上:持続的なコメの開発には、高収量を目的とする遺伝子の改善、よりよい栽培管理技術、効率的な収穫後処理、総合的生産システムの開発を必要とします。それにはまた、訓練、情報交換、安全性の確認された新たな技術のフィールドへの移転などを通じた国の能力の改善も必要となります

  • 水資源管理:水の希少性は、必要量の削減又は複数使用による水のリサイクルによって解決できます。水節約型のコメの生産は、肥料管理、作物作付けパターンや耕起法の変化をもたらします。国際コメ年は、コメを中心とする生産システムの水利用に係る費用と便益及び管理・技術の改善の必要性の理解を高めます

  • 環境保護:コメ生産により、農薬の無秩序な使用、肥料の無駄な使用、温室効果ガスの放出などがもたらされることがあります。同時に、コメを中心とする生態系システムは、生物多様性の宝庫でもあります。国際コメ年は、遺伝資源や自然資源の維持の重要性を周知させ、関係者が環境面での課題や機会に関するアイデアの交換を支援します。

  • 世界的な遺産の一部としてのコメを中心とする伝統的なシステム:国際コメ年は、基準となるコメを中心とするシステムの重要性の周知を図り、これらを保護するための活動を実施します。世界重要農業伝統システム(GIAHS)プロジェクトに、優れたコメを中心とする生産システムを加えることは、主要な機会を提供することになります。

  • 制度的側面:農民、特に女性の土地、信用、情報、新技術などへのアクセスを高めるため、政府と民間を含む非政府組織とのより効率的な連携が要求されます。それは多くの国の中心的な課題です。

  • 相乗作用の必要性: 全体的な課題としては、持続的なコメの開発のため、相乗作用による解決策を確認し実行することです。国際コメ年は、全てのコメ生産チェーンについて全ての国で情報の交換、技術移転及び具体的な行動を増加させるための「仲介者」となることを目的としています。


国際コメ年の実施

 国際コメ年の実施の基本目的は、現在と将来におけるコメ及びコメを中心とする生産システムの持続的な発展を促進し、その方向を導くことです。 こうした基本的な目的を達成するため、国際コメ年の戦略は、次の中間的な目的に焦点を当てています。

  • コメを中心とする生産システムが食料安全保障、栄養改善、貧困緩和及び生活改善に対して貢献することに関して一般の意識の啓発を図ること。

  • コメを中心とする生産システムの多様性と複雑性及び持続的開発の課題と機会に関して一般の意識の啓発を図ること。

  • 世界、地域、国及びコミュニティー段階でのコメとコメを中心とする生産システムの持続的開発を確保するため技術的支援を促進し供与すること。

  • 世界人口の経済的、社会的、文化的、健康面の利益を得るために、コメの生産物の保全と強化を促進すること。

この目的を達成するため、国際コメ年は次のガイドラインにより実施することとしています。

  • 合意された枠組みを通じた努力の調整・調和、全ての関係者間による貢献と参加

  • コメを中心とする生産システムの持続性を向上させるための貴重な貢献を行なうため、全ての関係者の能力と可能性を認識した協議・参加型の革新的かつ積極的なアプローチ

  • コメを中心とする生産システムの間の農業生態系的、社会・経済的及び文化的な差異についての認識と、異なる地域、国、コミュニティーにおける持続的発展への障害の認識

 国際コメ年の枠組みは、世界、地域、国及び地方レベルで、国連総会が指名したパートナーが組織するシステムから構\u25104成さます。FAOは、指名された機関として、国際コメ年調整・実施課を設置し、国際コメ年の諸活動の調整にあたることとしています。

 国際コメ年の実施戦略の基本は、コメ生産の開発に関連する課題を解決するため、相互の利益となる活動に全ての関係者が参加するというものです。これは、データの収集・分析、情報の普及、ワークショップ、コンペや展示のほか、ケーススタディーや国や農業関係者への技術支援などにより達成されます。報告に関連する活動には、諸活動のモニターと助言のため関係者をネットワーク化することや国連事務総長及び全ての関係者への最終報告書の作成があります。

 国際コメ年は、コメを中心とする生産システムの持続的な開発を向上させるための枠組みを確立するものです。また、これを達成する手段のいくつかを提供します。国際コメ年は、資金を有効に使用し、国ごとの国際コメ年国内委員会の組織化を支援していきます。これらの委員会は、2004年以降も国際コメ年のビジョンを発展させることを継続することができます。FAOは、関係者と連携して、コメを中心とする生産システムの中長期的に持続可能な発展に関するフォローアップ活動をパートナーとともに行なっていきます。