国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

FAO議員連盟と日本担当FAO親善大使との意見交換会の開催 ―ウクライナ紛争などの影響による世界の食料問題―

16/05/2022

 

5月16日、超党派の国会議員からなるFAO議員連盟による、FAO駐日連絡事務所及び日本担当FAO親善大使との意見交換会が開催されました。

司会を務めた鈴木馨祐FAO議連事務局長は、小麦やトウモロコシなどの穀物の需給に影響を与えるウクライナ情勢の様々な影響について話しました。

その後、林芳正FAO議員連盟会長が挨拶をし、ロシアのウクライナ侵略について話しました。ウクライナ国内の食料事情のみならず、ロシア及びウクライナが小麦をはじめとする農産物の屈指の生産国であることを踏まえ、当紛争がアフリカの国々をはじめ世界各国へ与える影響について触れ、それらの国々への食料対応の重要性について述べました。また、ウクライナ国内に貯蔵され輸出されていない穀物の存在や、その中でFAOが果たす大きな役割などについて紹介しました。さらに、世界的に様々な情報が出回っている中、正しい内容を理解し、世界に伝えていくことの重要性について強調しました。

FAOからの報告として、日比絵里子駐日連絡事務所長は、世界の食料・栄養の現状について、経済ショック・新型コロナウイルスの感染拡大や紛争・異常気象などの要因により、世界の飢餓人口が増えていることを報告しました。また、ウクライナの紛争による世界の農業市場への影響について、特にロシア・ウクライナ産の農産物・肥料に依存する低所得の国々への影響や、動物疾病の蔓延リスク、熱帯林破壊の可能性などについて説明しました。さらに、世界の食料安全保障に向け、FAOのウクライナ国内の農業への緊急支援の重要性や、ウクライナだけではなくグローバルな視点からの人道支援の必要性を訴えました。

FAO親善大使の国谷裕子氏は、SDGsを達成するために食料を増産しつつ地球環境を維持することの難しさや、新型コロナウイルスやウクライナ紛争の危機により表面化した世界の食料システムの脆弱性について話しました。地球が回復力を失っている中での温暖化や水不足に起因する食料生産の不安定さ、食料の輸出が一部の国へ集中している食料需給の現状、さらに換金作物への生産転換に伴い自国の食料自給率が低下したため今般の危機により大きな打撃を受けている低所得国の実情などを取り上げました。また、日本の低い食料自給率や農業の担い手確保の課題について触れ、さらに力強い国の施策が求められていると話しました。

同じくFAO親善大使の中村勝宏氏は、料理人としての立場から新型コロナウイルスとウクライナ紛争の影響に伴う外食産業や宿泊産業の厳しさについて述べました。また、SDGsや食品ロスの問題を身近なものとして捉え足元から取り組む活動として、食品ロス削減を心がけて考案されたホテルメトロポリタンエドモントの「もったいないメニュー」を紹介しました。さらに、食の安全・安心の基準との両立の課題を乗り越え、飲食店などにおける食べ残しの持ち帰りをより身近な文化として広めることを目的とする、日本ホテル株式会社の取り組みである「mottECO(モッテコ)」の活動について説明しました。

その後の意見交換では、農業生産にとって重要な水資源の枯渇や偏在の問題が取り上げられ、バーチャルウォーターの考え方の浸透の重要性や、当問題を統合的に捉え地場に適した食料生産・供給を世界的に行っていくことの必要性が議論されました。また、消費者がSDGsや食の問題を自分の問題としてより身近に捉えることの重要性が話され、フードマイレージなどの考え方を通しそのような機会を作る海外の取り組みが紹介されました。さらに、食べ残しの持ち帰りに関し食品衛生上の観点から、ホテル等の大人数向けに料理を提供する場での企業としての仕組みづくりの難しさなどが話し合われました。

 

FAOは1945年の設立以降、「すべての人に食料を」という目標のもと、飢餓撲滅のため活動しています。超党派のFAO議員連盟は国会議員とFAOのさらなる連携強化に取り組むため、2017年5月に設立されました。