日本の2つの候補地が新たに認定

3月8~9日に開催された第6回世界農業遺産(GIAHS)科学審査委員会(Scientific Advisory Group)の会合において、新たに日本の2つの農業システムが承認され、世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。
・にし阿波の傾斜地農耕システム
・静岡水わさびの伝統栽培-発祥の地が伝える人とわさびの歴史-
にし阿波の傾斜地農耕システム概要
にし阿波の傾斜地農耕システムの歴史は、日本の縄文時代(紀元前300年前)後期の移動耕作(焼畑農耕)に遡ると言われており、日本に稲作が導入される以前から存在します。稲作が困難であるにし阿波は、日本を代表する焼畑地域の1つとなり、古くから主食としての穀物栽培が広く行われてきました。
この地域の農業は、山間部の傾斜を幅広い用途で活用した土地管理システムが特徴です。土壌の表面は浅く、傾斜が40度にもなる場所もあります。山間部の急斜面は耕作に適さないと考えられているため、独自の土地利用法が用いられ、急傾斜地の状況に応じて、作付け地や草地、家屋に割り当てています。また、棚田や段々畑を形成せず、山間部の斜面を損なわないようにしながら持続可能な農業が行われています。
静岡水わさびの伝統栽培-発祥の地が伝える人とわさびの歴史- 概要
わさび(Eutrema japonicum)はアブラナ科の日本の固有種で、根茎をすりおろすと辛味の強い風味が作り出されるため古代から日本において高く珍重されてきました。静岡は世界的なわさび栽培の起源であり、約400年前の慶長時代 (1596年~1615年)に静岡の葵区で始まったとされています。
伝統的な栽培方法により、大きな根茎の生産が可能となり、かつ病気による作物被害が少なく、農業でよく見られる連作に伴う養分欠乏の危険性もほとんどありません。従って、わさび生産に非常に高い適合性を持った栽培システムです。さらに、山間の傾斜地に広がるわさび田は、高い保水能力を持ち、自然災害に対して回復力のある構造を有すると共に、下流地域を洪水災害から守る機能を果たしています。
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