国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

鳥インフルエンザ対応策

1.発生から撲滅までの防疫のあるべき姿は?

下図のようなプロセスが取られることと思われます。

 

2.残された問題、危険性とは?

アジアにおける途上国において行われている庭先養鶏は、低コストで行うことが出来るため、農家の生業として、家庭内消費中心で行われており、重要な動物タンパクとしての栄養源である。また、若干の現金収入源ともなっている。しかしながら、庭先養鶏は、鳥とヒトとの日常的混在があり、また、生きた鳥の輸送、市場での取引における、鳥とヒトとの接触と広範なウイルス伝染が懸念される。 そのため、農民参加型の鳥インフルエンザ対応と公的機関による防疫・監視体制の形成および効率化が求められている。 また、その他に、アヒルや飛来してくる野鳥(鳥インフルエンザに感染しても発症しなく、ウイルスの貯蔵庫となる)への認識と共存のあり方についても、対応が求められる。(写真:ベトナムの市場)

 

 

3.国際社会、疾病発生国は何をなすべきか?

国際社会においては、主に、(1)鳥から鳥への感染の封じ込め、(2)鳥から人への感染機会の削減、(3)人から人へ感染するウィルスに変異したときに備えての対応、などが求められている。

一方、鳥インフルエンザ発生国に対しては、具体的な対応として、(1)鳥インフルエンザ発生の把握支援、(2)発生報告の助長とそのシステム化、(3)発生地域での防疫対策の徹底、(4)そのために必要な機材・アクセス(車、バイク等の交通手段や電話、電子メール等の通信手段)の確保、(5)家畜衛生担当者・農民への研修、技術供与、(6)汚染拡大防止・抑止のソフト面での支援と養鶏業再建への支援と取組み、などの実施が必要。

4.感染封じ込め展開上の問題点は何か?

(1)ウィルス同定の困難性・時間がかかる、(2)情報公開の遅れと無知の共存、(3)経済的損失を恐れ隠すという経済行動、(4)国際的な監視・情報ネットワークの不足、などの問題点がある。

 

5.発生国で早急に求められることは何か?

(1)農民の認識向上‐疑わしきは早期報告、(2)血液サンプルの採取‐早期同定・診断、(3)そのためのインフルエンザウィルスの各種の型の整備・保存、(4)そのための拠点センターの整備、(5)報告に伴い感染が確認された場合の規制(殺処分・移動規制)に対する補償制度、(6)次の実態を考慮しての鳥と人との接触の機会の削減、(7)庭先養鶏‐バイオセキュリティ※の悪さ、(8)生きた鳥の流通、(9)生きた鳥の市場での解体処理、(10)肉の取り扱いの改善、などがある。

※バイオセキュリティ:生物安全保障。バイオセキュリティが良い状態とは、食品の安全性、動物の生命と健康、及び植物の生命と健康、更には関連する環境へのリスクが分析され、対応する政策及び規制の枠組み(手段と行動を含む)を包含する戦略的総合アプローチがとられている状態を表す。

 

6.最近行われた国際的な対応は?

2005年11月7-9日ジュネーブでの「鳥インフルエンザに関するWHO/FAO/OIE/WB共催会合」 において、今後6ヶ月間のWHO、FAO、OIEの緊急対応に3,500万ドル必要と発表。 対策に必要なこととしては、(1)鶏段階での規制、(2)監視の強化、(3)早期の封じ込め対応の準備、(4)大流行への準備対応、(5)各国での総合対応計画の策定、(6)リスクコミュニケーションなど透明性のある情報交換体制の整備、など。2006年1月17~18日北京での「「鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング北京会合」では、日米欧各国や国際機関が表明した資金拠出額の総額が19億ドル(約2,200億円)に達すると発表。世界的流行の抑止に向けた決意などを盛り込んだ「北京宣言」を採択。

 

■出典について

注釈を記載しているものをのぞき、写真、図表、数値などはすべてFAO駐日連絡事務所によるものです(一部、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所のホームページを参考とさせていただきました)。なお、本Q&Aページの作成過程で、森山浩光氏(獣医師、技術士)から鳥インフルエンザに関する資料および貴重な助言・示唆をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。