国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

鳥インフルエンザの基礎知識

1.鳥インフルエンザとは?

鳥インフルエンザとは、鳥類がインフルエンザウイルスに感染して起こる病気。

現在、鳥類に感染しているインフルエンザウイルスは、A型インフルエンザウイルスで、鳥インフルエンザウイルスと呼ばれる。

鳥インフルエンザウイルスに感染して発病するのは、鶏や七面鳥等の家きんに限られ、野鳥は感染してもほとんど発病しない。

(参考:独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所)

2.高病原性鳥インフルエンザとは?

鳥インフルエンザウイルスの中には鶏などを死亡させる強い毒性を持つ(強毒な)ものがあり、その感染による病気を高病原性鳥インフルエンザと呼んでいる。

家畜伝染病予防法では、高病原性鳥インフルエンザとは、下の(1)~(3)に該当するA型インフルエンザウイルスの感染による鶏、あひる、 うずら、七面鳥などの病気と定められている。

(1)鶏を高率に死亡させる鳥インフルエンザウイルス

(2)鶏を低率ながら死亡させるウイルスで、ウイルス表面のHA蛋白(赤血球凝集素)の特徴と培養細胞での増殖性が、これまでの高病原性鳥インフルエンザウイルスに類似するウイルス

(3)病原性の高低にかかわらず全てのH5あるいはH7亜型※の鳥インフルエンザウイルス

  (※亜型:ウイルス表面の抗原のわずかな違いで分類される様々な型)

この病気では、感染した鶏の大半が死亡するなど大きな被害が出る。ただし、病原性が低いH5あるいはH7亜型感染の場合は、無症状あるいは軽い呼吸器症状や産卵率の低下程度。

(参考:独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所)

3.鳥インフルエンザ発生の歴史は?

1878年イタリアで最初に報告され、1955年にインフルエンザウイルスとして分類された。

1900年代、ヨーロッパ、ロシア、アフリカ、中東、アジア、南米アメリカ等で発生が確認された。

アメリカ(1983年)、メキシコ(1983年)およびイタリア(1999年)で弱毒ウイルスが強毒に変異し、多くの家禽が処分された。これらの事例においては、水禽類が保有する弱毒ウイルスが鶏や七面鳥に継代される間に強毒株に変異することが確認された。

(参考:社団法人 全国家畜畜産物衛生指導協会)

4.これまでの発生例は?

米国(H5N2:1983)、メキシコ(H5N2:1993)、オーストラリア(H7N7: 1975、1976、1983、H7N3: 1992、1994、1997)、イタリア(H5N2: 1997、H7N1: 1999)、オランダ・ベルギー・ドイツ(H7N7: 2003)、香港(H5N1: 1997、2001、2002、2003)、パキスタン(H7N3:2004)、北朝鮮(H7:2005)等。

2003~2004年にはH5N1亜型による発生がアジアの諸国(日本、韓国、ベトナム、タイ、カンボジア、ラオス、インドネシア、中国、マレーシア)で確認。

2005年になっても中国や東南アジア数カ国では発生が続いており、2005年にはモンゴル、カザフスタン、ロシアにも強毒のH5N1ウイルスが感染渡り鳥により拡散。

2006年には、アフリカ(ナイジェリア、ニジェール)でH5N1亜型が家禽の間で確認され、また、ヨーロッパにおいては、アゼルバイジャンでヒトへのH5N1感染、ドイツでネコやテンへのH5N1感染が確認された。

(参考:独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所)

5.鳥インフルエンザウイルスの生態は?

従来、自然界において、水禽類やシギ・チドリの間での感染が主であった。しかしながら、近年、国際商取引、新たな文化、養鶏の産業化など※によって、ウイルスの生態系、分布域、宿主※※範囲、病原性等が大きく変化した。

※大規模化していった水禽類農場、屋外飼育農場、生鳥の流通販売、愛玩鶏・闘鶏の流通、養鶏場およびペット野鳥の国際流通等

※※宿主:ウイルス等が寄生または共生する相手の生物

(参考:社団法人 全国家畜畜産物衛生指導協会)

6.伝染パターンと懸念される突然変異のパターンとは?

主な伝染パターンは、「鳥から鳥へ」。しかしながら、鳥との密着度が高い場合やウイルスの突然変異などで、「鳥からブタへ」あるいは、「鳥からヒトへ」感染する可能性がある。ウイルスの突然変異のパターンとしては、(1)鳥インフルエンザウィルス自体の変異、(2)人のインフルエンザウィルスと鳥インフスエンザウィルスの結合による変異、(3)豚を媒介とした変異など、があります。

(下図:インドネシア)

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■出典について

注釈を記載しているものをのぞき、写真、図表、数値などはすべてFAO駐日連絡事務所によるものです(一部、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所のホームページを参考とさせていただきました)。

なお、本Q&Aページの作成過程で、森山浩光氏(獣医師、技術士)から鳥インフルエンザに関する資料および貴重な助言・示唆をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。