コーデックスの取り組み

私たちが日々口にする食料はいまや世界中から届くようになり、食の安全に関する消費者の関心もますます高まっている。
FAOと世界保健機関(WHO)が合同で運営するコーデックス委員会(国際食品規格委員会)は、こうした時代の変化に対応しながら、50年以上にわたり、加盟国とともに規格の策定に取り組んできた。ここでは、コーデックスの役割や規格策定の仕組みを紹介する。
規格、ガイドライン、実施規範
コーデックス規格とそれに関連する文書は任意のものであり拘束力を持たない。法的拘束力を付与するためには国の法律や規へと姿を変える必要がある。
コーデックス規格は全般的なものもあれば特定の事項関するものもある。一般規格、ガイドライン、実施規範は水平方向に適用される。これらの文書は、衛生規範、表示、添加物、検査・認証、栄養、動物用医薬品と農薬の残留物を取り扱っている。コーデックス個別食品規格は特定の製品に関するものであるが、一方でコーデックスは現在、食品群(例:果実別ではなく、果実ジュースや果汁全般に関する1つの規格)ごとの規格を増やしている。
汚染物質や残留農薬、残留動物用医薬品に対するものを含むコーデックス分析・サンプリング法もコーデックス規格とみなされる。
コーデックスガイドラインは2つのカテゴリーに区分される。
■ 特定主要分野における方針を定める原則
■ これらの原則を解釈するためのガイドライン、またはコーデックス一般規格の条項を解釈するためのガイドライン
食品添加物、汚染物質、食品衛生、食肉衛生の場合、関連事象の規定を管理する基本原則は、関連規格や実施規範に組み込まれる。
コーデックスガイドラインの例としては、食料生産動物への動物用医薬品の使用に関連して、各国において食品安全を保証するための規制プログラムを設計・実施するためのガイドライン(CAC /GL 71-2009)が挙げられる。
コーデックス実施規範(衛生規範を含む)では、個別食品や食品群の生産、加工、製造、輸送、保管の実施を定めており、食料消費の安全性と適切性を確保するうえで不可欠とされている。例を挙げると、食品衛生においては、基本文書は食品衛生のコーデックス一般原則であり、HACCP(HazardAnalysis Critical Control Point)方式※の食品安全検査システムが示されている。別の実施規範の例は、食品中のアクリルアミド低減に関する実施規範(CAC / RCP 67-2007)である。
ペーパーレスのコーデックス
1960年代の最初のコーデックス文書はハードコピーであったが、電子アーカイブの発展により、90年代にはCD-ROMが導入された。現在では、すべてのコーデックス規格はデジタル版で作成・保管されており、委員会によって採択されると、コーデックスのウェブサイトにて諸言語で公開される。