日本語資料
ショックやストレスに対する農業・食料システムのレジリエンスを高めるために
FAOの報告書『The State of Food and Agriculture 2021』の要約版を翻訳・刊行しました。
新型コロナウイルスのパンデミックは、農業・食料システムのショックやストレスに対する脆弱性を露呈し、世界的な食料不安と栄養不良の増加をもたらしました。農業・食料システムをよりレジリエンスがあり、効率的で、持続可能かつ包括的なものにするための行動が求められています。
本書では、農業・食料システムのレジリエンスに関する国レベルの指標を提示しています。この指標は、一次生産と食料の入手可能性、および食料への物理的・経済的アクセスを測定するものであり、レジリエンスの重要な側面である、各国の農業・食料システムが持つショックおよびストレスの吸収能力を評価するのに役立つものです。
本書は、食料サプライチェーンの脆弱性と、農村世帯がリスクとショックにどのように対処しているかを分析するとともに、レジリエンスの構築によって、効率性と包摂性とのトレードオフをいかに最小限に抑えるかについても論じています。そして、食料サプライチェーンのレジリエンスを高め、農業・食料システムにおける生計を支え、混乱に直面してもすべての人に十分で安全かつ栄養のある食料への持続的なアクセスを確保する政策についての手引きを提供しています。
本書は、灌漑農業における「水欠乏」と天水農業におけ る「水不足」の規模や、これらの影響下にある人口の最新の推定値を示しています。 明らかになったのは、国家間で水制約の状況に大きな隔たりがあるだけでなく、国内 地域間でも大幅な空間的ばらつきがみられるという事実です。こうしたエビデンス は、各国が水問題の性格や程度はもとより、農業生産システムのタイプや国の発展レベル、政治体制といったさまざまなファクターに応じて適切な政策や介入策をいかに 決定していくかといった論議に役立てることができます。こうした考察を踏まえ、本白書は、農業における水制約の打開と、効率的で持続可能かつ公平な水アクセスの確保 に向けて、各国が政策や介入策を適切に優先づけていくための手引きを提供しています。
『世界食料農業白書 2019年報告―要約版』は、食料ロス・廃棄に焦点を当てた本報告書の最新の調査結果をまとめ、介入に向けた手引きを提供する。