国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

FAO事務局長

© FAO / Giuseppe Carotenuto

屈冬玉(Qu Dongyu) 

屈冬玉は、2019年8月1日、国際連合食糧農業機関事務局長に就任しました。これまで一貫して世界の人々に食料を供給するように努めてきました。

1963年、中国・湖南省のコメ農家に生まれ、湖南農業大学で園芸学を、中国農業科アカデミーで植物育種学と遺伝学を学び、さらにオランダのワーゲニンゲン農業大学で農・環境科学の博士号を取得しました。

その後、科学と事業管理・経営に同時に携わり、世界人口の20%、世界の耕作地の9%を占め、農村人口の90%以上が3ヘクタール未満の小規模な農業を行っていた中国において、改革開放により貧困と飢餓を劇的に削減することにつながった時期に、国内外でさまざまな活動を促進しました。

彼のビジョンは、飢餓からの解放は基本的人権であり、21世紀には我々は慢性的な食料不安を根絶する能力がある、という信念に基づいています。課題は山積していますが、「問題は進歩の源にもなり得る」という基本理念を有しています。

FAO事務局長就任前は、中国農業農村部副部長を務め、包括的で革新的な開発を促進し、4億人を超える農家にスマートフォンを新しい農業ツールとして使用してもらおうと、農村地域の情報通信技術(ICT)を整備しました。

このビジョンは、中央政府、地方政府、研究機関、400億ドルの投資プロジェクトである中国長江三峡集団での人事部リーダーとしてのプロフェッショナルなキャリアの中で一貫しています。

これまでに進めた国策には、中国国内の農産物卸売価格の報告の改善、地域の比較優位を活かした100を超える特産品生産地の設立などがあります。また、中国の内陸で最も貧しい地域のひとつである寧夏回族自治区の副主席として、貧困削減、防災、女性の地位向上、アグリツーリズム、各民族を団結させ互いに学びあえるプラットフォームの構築などを目的とした行動計画を策定しました。

事務局長は、「アジアの魂」と「グローバルマインド」の融合を表現しています。若手の学者として科学的な革新性を認められ、30年にわたり国際交流・国際協力に携わり、世界ジャガイモ会議、国際イネ会議、国際植物防疫会議などの主要イベントを企画し、世界貿易機関(WTO)やG20などの多国間イニシアティブ、アジア、アフリカ、ラテンアメリカを含む多くの二国間イニシアティブに参加してきました。また、FAOと世界銀行の連携による、主要な南南協力事業の企画にも積極的に寄与しました。

座右の銘は「生活はシンプルに、でも仕事はシンプルでなく」。既婚(1女)。