国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

FAOと日本の支援:ガーナの大豆生産の真の潜在能力を引き出す

日本政府支援の新規FAO大豆プロジェクト発足

プロジェクト発足式典において、ブライアン・アチャンポン食糧農業大臣、望月寿信在ガーナ日本国大使館特命全権大使、ユディ・ヤスミFAOガーナ代表及び主要関係者

2023/06/23

ガーナの大豆生産の強化及び食料・栄養安全保障の課題への取組みを目的とした画期的なイニシアティブが本日発足。ブライアン・アチャンポン・ガーナ食糧農業大臣、望月寿信在ガーナ日本国大使館特命全権大使、ユディ・ヤスミFAOガーナ代表及び主要関係者が同発足式典に参加した。本イニシアティブは、日本政府による資金援助の下、より良い生産及び収穫後処理技術へのアクセスの改善、並びに農地開発支援による小規模農家の生産性向上を目指すものである。

ガーナの大豆生産潜在能力は年間70万トンとみられるも、現時点ではそのわずか26%程度しか到達していない。ガーナ全体で25万ヘクタールあると見込まれる生産適地のうち、耕作面積は10万2千ヘクタールにとどまると推計されている。この結果、需要に対し国内生産が大幅に不足している。コロナ禍及びウクライナ情勢による大豆の輸入制限及び中断も相まって、養鶏、内水面養殖及び畜産業を含む経済にまで影響が及んでいる。

ブライアン・アチャンポン食糧農業大臣は「本プロジェクトは、ガーナの食料と雇用のための農業プログラム・フェーズ2(Planting for Food and Jobs phase two (PFJ  2.0) )の大目標へ合致している。すなわち、活発な民間セクターの参加と共に、経済開発を促進する大豆を含む農畜産物11品目の農業バリューチェーンの変革を目指すものである。」と抱負を語った。

望月寿信在ガーナ日本国大使館特命全権大使は「このプロジェクトが土地生産性の向上や収穫後の作物管理の改善を目指すことで、ガーナの食料安全保障の改善に効果的に貢献する点を、評価している。」と述べた。

ユディ・ヤスミFAOガーナ代表は「我々は、生産及び強靭性を最大化するための技術、科学及びイノベーションの力の活用を強調しつつ、大豆バリューチェーンへの戦略的な投資を早急に必要としている。さらに、進捗を促すための政策及び規制整備を優先しなければならない。大豆産業に革命を起こし、その潜在能力を引き出すため、一致団結して断固とした行動を起こしていきましょう。」と呼びかけた。

本プロジェクトは、FAOの幅広い対ガーナ支援の中で、特定の農産品のグリーン(環境へ配慮した)バリューチェーンをアフリカ全土及び世界中でFAOが支援する一国一品(OCOP)イニシアティブを通じた、大豆バリューチェーン開発と位置づけられる。

 

ガーナの成長する大豆セクター

ガーナ北部で国産大豆の約96%が生産されているが、1ヘクタール当たり3トンと平均単位収量は低いままである。これは、不十分な農地開発、肥料等の農業投入財への限られたアクセス、劣化した土壌肥沃度等に起因する。今回日本政府からの支援により新たに始まるガーナ国大豆開発支援プロジェクトは、大豆産業の変革、生産性の向上、小規模農家の生計の改善及び食料・栄養安全保障の強化をもたらす。全ての関係者の専門性及び経験をフル活用し、本プロジェクトは、ガーナにおける大豆生産に変革をもたらすことを目指している。

また、本プロジェクトは、食糧農業省(MOFA)の食料と雇用のための農業プログラム・フェーズ2(the Enhanced Planting for Food and Jobs )に沿う形で、農業投入財及びその他の農業生産資材にかかる農家支援は、投入財融資及び助成金(マッチング・グラント)として実施される。

本日の発足式典では、大豆バリューチェーンにかかわる様々な機関からの出席者が、本プロジェクトの成果目標や活動内容について協議するとともに、主要関係者間の協力、パートナーシップ及び経験の共有が醸成された。このような関係者の連携も、今後の本プロジェクトの成功に貢献すると期待される。

 

関連リンク