国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

世界の食料安全保障と栄養の現状(2023年報告)


























「世界の食料安全保障と栄養の現状:2023年版」図1より

 

世界の栄養不足人口と蔓延率(PoU)

人口:6億9,100万人から7億8,300万人(2022年)
蔓延率:9.2%(2022年)

世界の栄養不足人口と蔓延率(SDGs指標2.1.1)で測定される2022年の世界の飢餓状況は、パンデミック以前のレベルをはるかに上回ったままであります。慢性的な飢餓に直面している世界の人口の割合は、2019年の7.9%に対し、2022年には約9.2%となりました。世界的なパンデミックの真っ只中であった2020年に急増し、2021年には9.3%まで緩やかに上昇した後、2021年から2022年にかけて世界の栄養不足人口と蔓延率は横ばいでした。。2022年には、世界で6億9,100万人から7億8,300万人が飢餓の影響を受けると推定されています。予測される中間値(2022年には約7億3,500万人)を考慮すると、2022年にはパンデミック前の2019年よりも1億2,200万人多い人々が飢餓に直面していることになります。

 

地域別の数 

アジア地域: 4億200 万人(2022年)
アフリカ地域: 2億8 200 万人(2022年)
ラテンアメリカ・カリブ地域: 4 300万人(2022年)

栄養不足の人々がアジア地域に最も住む一方、栄養不足人口の割合が最も高い地域はアフリカで、約 20%、約5人に1人が飢餓に直面しています。

 

食料不安に直面する人口

重度・中程度の食料不安に直面する人口:24億人(2022年)
重度の食料不安に直面する人口の割合:29.6%(2022)

 

健康的な食事の入手可能性

世界で健康的な食事を経済的な理由で入手できない人口:約31億人(2021年)

2021年に世界人口の42%の人々が健康的な食事を入手することができず、パンデミック前の2019年と比較しすると、1億3,400万人増加しました。これは、多くの国で、可処分所得の減少と相まって発生した健康的な食事にかかる費用の増加を反映しています。

 



主要用語の定義

 

急性食料不安:特定の地域において特定の時点で見られる食料不安であり、その重症度が生命または生計を脅かすものです。原因、背景、期間に関わらず、短期的な目標に焦点を当てた行動を戦略的に指針とすることと関係します。この指標は、食料危機に関するグローバル・レポート(FSINおよびGlobal Network Against Food Crises、2023年)で使用されます。

 

飢餓:食事からのエネルギーが不足していることによって引き起こされる不快または苦痛な感覚。この報告書では、飢餓という用語は慢性的な栄養不足と同義であり、栄養不足蔓延率(PoU)によって測定されます。

 

栄養不良:マクロ栄養素および/またはミクロ栄養素の不適切、不均衡、または過剰な摂取によって引き起こされる異常な生理状態。栄養不良には栄養不足(幼児の発育阻害や消耗症、ビタミンやミネラルの不足)だけでなく、過体重や肥満も含まれます。

 

中程度の食料不安:人々が食料を入手可能性について不確実性を抱え、お金や他の資源不足により、年の一時期に食料の品質や量を減らさざるを得ない状態の食料不安の重症度のレベル。これは食料への一貫したアクセス不足を指し、食事の品質を低下させ、通常の食事パターンを乱します。食料不安の経験尺度(FIES)で測定され、SDG目標2.1(指標2.1.2)に向けた進捗状況を測ります。

 

重度の食料不安:年のある時点で人々が食料を使い果たし、飢えを経験し、最も極端な場合には一日以上食べ物を摂取できない状態の食料不安の重症度のレベル。食料不安の経験尺度(FIES)で測定され、SDG目標2.1(指標2.1.2)に向けた進捗状況を測ります。