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国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)2026年報告 主要メッセージ

「世界の食料安全保障と栄養の現状」(The State of Food Security and Nutrition in the World: SOFI)」は、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)が共同で作成する年次報告書です。

 1999年以降、飢餓の撲滅、食料安全保障の達成、栄養改善に向けた世界の進捗状況をモニタリング・分析しています。また、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成に向けた主要な課題について、詳細な分析も行っています。

本ページでは、「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」の主要な知見のうち、栄養不足、食料不安、健康的な食事のコストに関する内容を紹介します。

世界の栄養不足人口と栄養不足蔓延率(Prevalence of Undernourishment, PoU)

SOFI2026_PoU

注: 網掛け部分および棒線は、推定値の範囲の下限値と上限値を示す。
*2025年の予測値はナウキャストに基づくものであり、点線で表示。
出典: FAO. 2026. FAOSTAT:Suite of Food Security Indicators. [2026年7月21日引用].
https://www.fao.org/faostat/en/#data/FS. ライセンス: CC BY 4.0.


世界の栄養不足人口と栄養不足蔓延率(PoU)(2025年推定値)

 栄養不足人口:約6億800万 ~ 6億9,600万人 
 栄養不足蔓延率(PoU):7.4 ~ 8.5%

  • 2025年の新たな世界推計によると、飢餓は2022年以降、緩やかながら着実に改善している。 2025年に飢餓に直面した人の割合は世界人口の7.8%と推定され、2024年の8.1%、2022年の8.6%から低下した。
  • 2025年に飢餓に直面した人の数は、世界全体で約6億800万~6億9,600万人と推定されている。 これは世界人口の7.4~8.5%に相当する。2025年の点推定値である6億4,500万人でみると、2024年と比べて約1,400万人、2022年と比べて約4,300万人減少したことになる。
  • 2025年には、アフリカで3億900万人、アジアで2億9,200万人、ラテンアメリカ・カリブ海地域で3,200万人が飢餓の影響を受けた。これはそれぞれの地域人口の20.0%、6.0%、4.8%に相当する。アジアおよびラテンアメリカ・カリブ海地域では近年着実な改善がみられる。また、新たな推計によると、アフリカでは長年続いていた飢餓の増加傾向に歯止めがかかったことが示唆されている。
  • 2030年までに、世界の栄養不足人口は20%減少すると見込まれている。 しかし、それでもなお5億1,000万~5億2,000万人が飢餓に直面すると予測されており、そのうち56%はアフリカに集中すると見込まれている。2026年の中東紛争をはじめとする最近の出来事は、アフリカやアジアへの影響を通じて、SDGsターゲット2.1の達成に向けた進展を損なうおそれがある。

食料不安に直面する世界の人口(2025年推定値)

 重度・中程度の食料不安に直面する世界の人口:21億人
 重度の食料不安に直面する世界の人口の割合:25.8%

  • 2025年には、世界人口の25.8%にあたる21億人が中程度または重度の食料不安に直面していたと推定されている。これは、2024年の27.1%、2020年の28.7%から低下している。2025年には、食料不安に直面している人の数が2024年と比べて約8,600万人、2020年と比べて約1億3,500万人減少したことになる。
  • 2025年には、アフリカでは地域人口の半数以上(56.6%)が中程度または重度の食料不安に直面した。 これに対し、アジアでは20.3%、ラテンアメリカ・カリブ海地域では22.9%、北米・欧州では8.7%であった。2020年以降、アジアおよびラテンアメリカ・カリブ海地域では着実な改善がみられており、アフリカでも2025年には2015年以来初めて状況の改善が確認された。
  • 世界全体でみると、中程度または重度の食料不安に直面している人の割合は、農村部で一貫して最も高く、都市周辺部がこれに続き、都市部で最も低い水準となっている。 また、女性の割合は一貫して男性を上回っているが、その差は2024年と比べて2025年には縮小した。
経済的な理由で健康的な食事を摂ることができない人口(2025年推定値)

 経済的な理由で健康的な食事を摂ることができない世界の人口:26億9,000万人

  • 健康的な食事に必要な食品の価格が、2025年の食料インフレ率と同程度に上昇したと仮定すると、健康的な食事のコストは世界全体で2025年には一人一日あたり購買力平価(PPP)ドル換算で4.28ドルとなり、2021年の3.44ドル、2017年の2.94ドルから上昇した。
  • 2025年の健康的な食事のコストは、ラテンアメリカ・カリブ海地域でPPPドル換算4.91ドルと最も高く、次いでアフリカが4.35ドル、アジアが4.33ドル、北米・欧州が3.64ドルであった。なお、同じ地域内でも、より細かな地域区分ごとに顕著な差がみられる。
  • 経済的な理由で健康的な食事を手に入れられない人の数は、世界全体で2021年の29億7,000万人(世界人口の37.4%)から、2025年には26億9,000万人(同32.7%)へと減少した。これは、食料価格の上昇を上回るペースで、食料に充てられる所得が増加したことを示唆している。
  • 2025年には、経済的な理由で健康的な食事を手に入れられないない人の割合は、アフリカで66.6%、アジアで28.9%、ラテンアメリカ・カリブ海地域で25.7%と推定された。この割合はアフリカで上昇している一方、アジア、ラテンアメリカ・カリブ海地域、および北米・欧州では低下している。

 


主要用語の定義


食料安全保障:すべての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活を送るために、必要とする食事や食の嗜好を満たす、十分で安全かつ栄養のある食料を、物理的、社会的、経済的に入手できる状況。この定義に基づき、食料安全保障に関する4つの側面が挙げられる:
 ・Availability(食料が物理的にあるか)
 ・Access(食料へ経済的・物理的にアクセスできるか)
 ・Utilization(食料を有効に活用できているか)
 ・Stability(安定的に食料が保障されているか)

食事の質(または健康的な食事): 多様性(食品群内および食品群間)、適切性(必須栄養素の必要量に対する充足度)、適度な摂取(健康状態の悪化に関係する食品および栄養素)、バランス(エネルギーとマクロ栄養素の摂取量)の4つの主要な側面からなる。また、摂取される食品は安全でなければならない。

健康的な食事のコスト:健康的な食事(上記)を満たすために、地元で入手可能な食品を用いて、最も安価な組み合わせを購入するために必要な費用。

飢餓:食事からのエネルギー摂取量が不足していることによって引き起こされる不快感または苦痛。本報告書では、飢餓という用語は慢性的な栄養不足と同義であり、栄養不足蔓延率(PoU)によって測定される。

栄養不良:マクロ(主要)栄養素および/またはミクロ(微量)栄養素の不適切、不均衡、または過剰な摂取によって引き起こされる異常な生理状態。栄養不良には、栄養不足(幼児の発育阻害や消耗症、ビタミンやミネラルの不足だけでなく、過体重や肥満も含まれる。

中程度の食料不安:食料不安の深刻度を食料不安の経験尺度(Food Insecurity Experience Scale, FIES)に基づいて測定した際、人々が食料を入手できるかどうかについて不確実性を抱え、金銭的またはその他の資源不足により、年間のある時期には摂取する食料の質や量を減らさざるを得なかった状態を指す。これは、食料への一貫したアクセス不足を指し、食生活の質を低下させ、通常の食習慣を乱し、栄養や健康、生活の質に悪影響を及ぼす。

重度の食料不安:人々が食料を使い果たし、飢餓を経験し、最も極端な場合には数日間食料を摂取できない状態で過ごしたことがあり、健康や生活の質が深刻な危機にさらされる食料不安のレベル。食料不安の経験尺度(FIES)で測定される。

栄養不足:正常で活動的かつ健康的な生活を維持するために必要な食事エネルギー量を、個人の習慣的な食料摂取量では十分に賄えない状態。本報告書において、飢餓は慢性的な栄養不足と同義と定義される。飢餓の測定指標には、栄養不足蔓延率(PoU)が用いられる。