FAO駐日連絡事務所 日比 絵里子 所長
メッセージ
2030年までの達成を目指す持続可能な開発目標(SDGs)の中では、飢餓とあらゆる形態の栄養不良の解消、そして食料安全保障の達成が掲げられています。しかし世界の飢餓人口は増加傾向にあり、2023年にはその数値が約7億3,300万人に達しています。飢餓のみならず、肥満を含むあらゆる形態の栄養不良も世界各地で増加しています。これらの課題に対処するためには、より一層の国際的結束と協力が欠かせません。
日本は長年にわたり、FAOの通常予算への最大の貢献国の一つであり、開発途上国、とりわけその農村地域における持続可能な食料生産の促進と栄養レベルの向上、そして気候変動や社会不安、経済の脅威や危機に対する人々の生活のレジリエンス強化に向けた取り組みに多大な貢献をしてきました。
また日本は、国内にFAOの認定する持続可能な農業システムである世界農業遺産(GIAHS)を15地域有し、同時に、農業・食料分野に関連する最先端技術の開発や導入が進められているなど、世界的な持続可能なフードシステムへの変革のカギとなる技術や知識を多く備えています。
日本との連携を強化することは、世界の飢餓と栄養不良に終止符を打ち、持続可能な社会への道のりを加速させるために不可欠です。FAO駐日連絡事務所は日本から、農業・食料分野における国境を越えた技術・情報・資金面での協力をより一層促進し、日本国内での多様なアクターとの協力の下で誰一人取り残さない社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
経歴
FAO駐日連絡事務所長に2020年9月13日付で就任した日比絵里子氏は、2011年にFAO入職、ローマ本部戦略企画室にシニア・オフィサーとしての2年間の勤務の後、2013年からは紛争下のシリア事務所の所長、また2016年からはサモア独立国アピアのFAO大洋州事務所長として、大洋州14カ国を対象としてより栄養に配慮したフードシステムの構築貢献に努めてきました。
FAO入職以前は、国連人口基金(UNFPA)のニューヨーク本部、ウズベキスタン事務所、アジア太平洋地域事務所に勤めるなど、約30年の国連経験があります。
上智大学法学部で法学士、英国レディング大学大学院で国際関係学修士号、米ワシントンDCジョンズホプキンズ大学大学院SAISで国際関係学修士号を取得しています。
過去の主な活動一覧
- 公益財団法人横浜市国際交流協会の「小学生を対象とした国際平和学習プログラム」にて、横浜市の小学生向けにお話しをしました。(2024年10月)
- 教派神道連合会主催の公開講演会「―いのちの重さを考える―世界の食料安全保障~みんなが食べられる世界へ~」にて講師を務めました。(2024年10月)
- 世界食料デー2024イベント 「食への権利を、より良い生活と未来のために」にて司会を務めました。(2024年10月)
- WORLD FOOD NIGHT 2024 in 横浜 〜持続可能な「食」へのはじめの一歩!〜にて開会あいさつをしました。(2024年10月)
- 「世界食料デー」月間2024プレイベント:胡麻から見える食料危機 ―ずっと胡麻が食べたい! 私たちにできることは?にて開会あいさつをしました。(2024年9月)
- 中華人民共和国成立75周年祝賀レセプションに出席しました。(2024年9月)
- 国際食品規格 (Codex) アジア向け人材育成ワークショップで開会あいさつをしました。(2024年9月)
- 第8回東アジア農業遺産学会(ERAHS)に参加しました(2024年8月)
- FAOを代表して平和6年広島の平和記念式典に参加しました。(2024年8月)
- 大和市教育委員会教育研究所主催の講座で、「世界から飢餓をゼロに!~世界の農業・食糧事情の現状と課題」について講演しました。(2024年7月)
- 「OECD-FAO農業見通し(アウトルック)2024-2033」発表イベントにて司会を務めました。(2024年7月)
- 「世界の食料安全保障と栄養の現状:2024年報告」発表イベントにて司会を務めました。(2024月7月)
- 違法漁業防止寄港国措置協定(PSMA)アジア地域調整会合にて開会あいさつを行いました。(2024年6月)
- 「限りある水資源と世界の農業・食料システムの課題~国谷裕子親善大使とともに考える」にて開会挨拶をしました。(2024年5月)
- 「TICAD開催推進協議会第9回アフリカ開発会議 横浜開催推進協議会」設立総会に参加しました。(2024年5月)
- ICAO ICA農業委員会・執行委員会(ICAO-EXCOM)にて基調講演を行いました。 (2024年4月)
- 「農業・食料システムと気候変動について―FAOで活躍する日本人職員と話す」にて司会を務めました。(2024年4月)
- 国連大学主催の 「BIG IDEAS:SDGsに関する対話シリーズ」に登壇しました。(2024年4月)
- 中華人民共和国駐日本国大使館主催の「国際女性の日」祝賀レセプション・春分茶会に参加しました。(2024年3月)
- オーストラリア大使館主催の国際女性デーイベントに参加しました。(2024年3月)
- ミツバチ一般社団法人みつばち協会主催の「ミツバチシンポジウム2024」に講師として参加しました。 (2024年2月)
- ハンガーフリーワールド主催の「マッピングで食料問題解決の糸口を探る! フードシステム変革推進チームの活動に期待が寄せられる」にてコメンテーターとして参加しました。 (2024年2月)
- 東京都主催の令和5年度「東京の水産業振興に向けた専門懇談会(第3回)」にオブザーバーとして参加しました。 (2024年2月)
- 豆類のイベント 2024年「世界マメの日」記念セミナーで講演を行いました。(2024年2月)
- 「JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)年次フォーラム 食品ロス削減を通じた食料安全保障への貢献 実例と戦略~グローバルな視点で現地の課題解決策に貢献する~」にコメンテーターとして参加しました。(2024年1月)
- 横浜雙葉中学高等学校で講演会を行いました。(2023年12月)
- 駐日スロベニア共和国大使館主催の「ミツバチ × #食料安全保障 朝食会セミナー」に登壇しました。(2023年12月)
- 第8回SDGsオンラインフェスタ(12月2日) にて「待ったなし!の世界の食料事情」について講演しました。(2023年11月)
- 「FAOで活躍する日本人職員と話す―FAOの最新の動向及び国連でのキャリア形成について」にて閉会挨拶をしました。(2023年11月)
- 世界農業遺産「静岡の茶草場農法」認定10周年記念式典に参加しました。(2023年10月)
- 日本国際連合協会北海道本部及び北海道主催の「国連デー記念講演会」に登壇しました。(2023年10月)
- 世界食料デー2023イベント 「水は命の源、水は食の源、誰一人取り残さない」にて講演をしました。(2023年10月
- 「WORLD FOOD NIGHT 2023 with 横浜〜世界とつながるわたしの食卓〜」にてスピーカーとして参加しました。(2023年10月)
- JIRCAS東京雑穀年セミナ―にて開会挨拶をしました。(2023年9月)
- 日本農業経営学会研究大会にてコメンテーターとして参加しました。(2023年9月)
- FAOを代表して広島の平和記念式典に参加しました。(2023年8月)
- 「世界の食料安全保障と栄養の現状:2023年報告」発表イベントにて司会を務めました。(2023年7月)
- 「OECD-FAO農業見通し(アウトルック)2023-2032」発表イベントにて開会挨拶をしました。(2023年7月)
- 日本作物学会第255回講演会特別シンポジウム世界の食料危機に立ち向かう作物科学 にて基調講演を行いました。(2023年3月)
- 「世界農業遺産・日本農業遺産認定記念式典」に参加しました。(2023年3月)
- 2023年「世界マメの日」記念セミナーに登壇しました。(2023年2月)
主な寄稿記事・関連記事一覧
- 2024年3月発行 「ラクダ科の国際年2024」(『国際農林業協力』Vol.46 No.4(通巻209号))を執筆
- 2023年10月発行 「国連で働く:世界を支える仕事」(岩波ジュニア新書977)第5章を執筆
- 2023年3月号 豆類時報 2023年「世界マメの日」記念セミナーの開催
- 2023年2月号 ロシアNIS調査月報 調査レポート ウクライナ危機以降の世界の食料安全保障ー持続可能な農業・食料システムの構築を求めてー
- 2022年9・10月号 世界経済評論 ウクライナ・ロシア紛争が世界の食料安全保障に及ぼす影響
- 2022年7月 聖教新聞 ~食卓から世界の危機を考えよう~
- 2021年12月号 AFC フォーラム 気候変動がおよぼす「食の未来」ゼロサム構図から脱却をめざせ
- 2021年12月102号 Dateline UN 飢餓のない世界へ―FAOの仕事場から
- 2021年9月22日 国連広報センター:シリーズ 「みんなで乗り越えよう、新型コロナパンデミック:私はこう考える」 第32回