国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

FAOは日本政府からの3,440万ドルの拠出を歓迎:1,000万ドルの対ウクライナ支援など緊急時の食料安全保障の強化と強靭性の向上へ貢献

©FAO/Oleksandr Mliekov

2023/04/06

国際連合食糧農業機関(FAO)は、日本政府からの3,440万米ドルの拠出を歓迎した。この拠出は、国内避難民、難民、その他不安定な状況や自然災害の影響を受け、緊急事態に置かれている人々に対し、食料安全保障の強化と栄養改善のための幅広い支援を提供するために活用される。

この資金は、以下の国や地域を対象とした17のプロジェクトに充てられる:

• 近東・北アフリカ地域の4件(レバノン、パレスチナ、トルコ、イエメン)
• サブサハラ・アフリカ地域の6件(エチオピア、ガーナ、マラウィ、ナミビア、ソマリア及び最も脆弱な牧畜民・農牧民のコミュニティにおける干ばつの影響を緩和するための複数国に渡るプロジェクト(ジブチ、エチオピア、ケニア、ソマリア、ウガンダ))
• アジア・大洋州地域の4件(アフガニスタン、パキスタン、フィリピン、スリランカ)
• 欧州の3件(モルドバ共和国1件、ウクライナ2件)

エチオピアやイエメンでの紛争の影響を受ける地域や、パキスタンでの洪水被害を受ける地域への緊急生活支援から、気候や経済的ショックに直面している牧畜で生計を立てているアフガニスタンの脆弱な農家への支援、干ばつの影響を受けた東アフリカでの復興支援、ガザの漁民への支援など、多岐にわたる取り組みが展開される。

レイン・ポールセンFAO本部緊急支援・レジリエンス部長は、「日本政府の寛大かつこの重要なタイミングでの支援に感謝します。異常気象や天然資源の制約、紛争などの影響を受けやすい国々では、農村の人々は複数の脅威に対処しきれず、農業生産性が低下し、食料不安のレベルが悪化しています。今回の支援は、農業で生計を立てている家族が今すぐ必要なものを入手し、ショックやストレスに対する脆弱性を軽減し、強靭な農業・食料システムを構築する手助けとなり、彼らの生計向上に寄与するものと期待しています」と述べた。

ウクライナでの取り組みの強化
農村部に住む人々の生計を守り、小規模農家に対し種子の緊急援助を行うために、1,000万米ドル超の資金がFAOのウクライナでの活動に充てられる。

ウクライナの農業は、農村部に住む約1,300万人のウクライナ人にとって重要な生計の源である。戦争により治安が悪化し続ける中、ウクライナの農業セクターは急速に縮小しており、同国経済の根幹を脅かし、さらには食料安全保障及び栄養の確保にも深刻な影響が広範に及んでいる。2022年には穀物生産者の収入減と収益性の低下が認められ、2023年の作物生産に大きく影響する可能性がある。

農業生産者は生産水準を維持するための支援を緊急に要しており、特に小規模農家は種子の支援を必要としている。緊急種子支援プロジェクトを通じ、FAOは約3,600の小規模農家に対し、彼らの生活を守り、戦争により寸断された農業バリューチェーンを回復できるよう、春撒き用の種子の支援を行う。この活動は、実際に支援が届けられるかにもよるが、紛争の影響を受けたチェルニヒウ、ドネツク、ドニプロペトロウスク、ハルキウ、へルソン、ミコライウ、オデーサ、スーミ、ザポリッジャを含む9つの州で実施される予定である。


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