国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

ウクライナ及びロシア連邦の世界の農産物市場における位置づけと ウクライナでの戦争に伴うリスク(2022年12月5日更新)

(仮訳)FAO インフォメーションノート

05 July 2019, Krasne, Ukraine - Combine harvester at work in a wheat field near Krasne village.

©FAO/Anatolii Stepanov

2022/12/05

概要(エグゼクティブサマリー)

※本概要は仮訳であるため、正確には原文(https://www.fao.org/3/cc3317en/cc3317en.pdf)をご参照ください。原文と 相違がある場合には、原文が優先されます。

1 市場・貿易の概要及び最近の価格動向

1.1 市場シェア

1. ロシア連邦とウクライナは、世界の農産物の最も重要な生産国の一つである。両国はいず れも農産物の純輸出国であり、食料の世界市場への供給をけん引している。ロシア連邦は また、世界最大の肥料輸出国の一つである。食料や肥料の世界市場において、輸出がし ばしば一握りの国に大きく集中していることで、これらの市場はショックや価格変動に対し 脆弱となっている。

2. 2021 年の小麦、大麦、とうもろこし、なたね、なたね油、ひまわり種子、ひまわり油の世界 の輸出状況を見ると、ロシア連邦、ウクライナの両国、あるいはそのどちらかが輸出上位3 か国に入っている。さらにロシア連邦は、窒素質肥料輸出で世界第1位、加里質肥料輸出 で世界第2位、そしてりん酸質肥料輸出で世界第3位となっている。

1.2 貿易の概要

3. 食料や肥料を輸入する多 くの国々は 、その大半が後発開発途上国 ( LDC: Least Developed Country)や低所得食料不足国(LIFDC: Low-Income Food-Deficit Country) であり、ウクライナやロシアからの輸入により自国の食料需要を満たしている。また、これら の国々の多くは、戦争の前からすでに新型コロナウイルスによるパンデミックの影響や食 料や肥料の国際価格の上昇の影響を受け、厳しい状況に置かれていた。

1.3 基本的な食料と農業投入財の国際価格と輸入額

4. FAO 食料価格指数に見られるように、食料の国際価格の上昇は、輸入国の財政を大きく 逼迫させており、この価格上昇により、世界の食料輸入額は 2022 年に過去最高の 1 兆 9,400 億米ドルに達する見込みである。経済的に脆弱な国の多くは、今年、食料輸入のた めにより多くの金額を支払う一方、入手できる食料はより少なくなっている。これらの国では、食料の輸入にかかる費用を賄うことがますます困難になっており、国際価格上昇に対して のレジリエンスが限界をむかえつつある可能性がある。

5. 同様に、農業投入財価格の高騰により、世界の輸入投入財に対する支出が一年で 50%近 く跳ね上がり、2022 年には 4,240 億米ドルに達すると予想される。全ての地域や国のあら ゆる所得層がこの上昇の影響を受けると予想される。しかし、多くの低所得国にとって、投 入財の輸入額の急激な増加は、自国通貨の下落とともに、既存の国際収支問題をさらに 悪化させている。また、投入財価格の高騰は、投入財の使用量の減少につながる恐れもあ る。

 

2 リスク分析:ウクライナでの戦争から生じるリスクの評価

2.1 貿易リスク

6. 2月下旬の戦争勃発時、ウクライナとロシア連邦は 2021/22 年の市場出荷時期の真っ只 中にあった。そのため、すでに収穫された作物について、既存の輸出契約を履行し新たな 契約の締結をするにあたり、両国ともにすぐに影響を受けた。とりわけ戦争により全ての商 業船舶の運航が停止し、民間の穀物関連業者や粉砕加工業者の活動が一時停止し、内 陸部の輸送・貯蔵・加工施設への損害が発生したウクライナでは、この影響は特に顕著で あった。

7. 黒海穀物イニシアティブの立ち上げと更新、及び非海運ルートによる輸出能力増強の取組 は、戦争開始時、黒海の港閉鎖によりウクライナが直面していた厳しい輸出制約の緩和に はつながった。しかし、戦争による国内インフラの損傷、エネルギー不足、作物生産の減少 により、ウクライナの穀物及び植物油の輸出が潜在的な能力を下回り続けることが懸念さ れる。

8. ロシア連邦では食料輸出は継続できたが、国際取引に必要な金融サービスへのアクセス の問題により、輸出が制限された可能性があるとの報告もある。さらに、ロシア側の黒海の 港は稼働し続けているものの、黒海に停泊することになる船舶の保険料が上昇し、貿易や、 輸入国が国際的に調達する食料に支払うコストに影響が出ることが懸念される。

2.2 物流リスク

9. ウクライナでは、戦争により加工、貯蔵、輸送のインフラの一部が損傷を受けた。戦闘が続 く限り、主要インフラにさらなる被害が出る可能性は排除できない。このため、同国が収穫 や輸出を完了できない可能性がある。黒海穀物イニシアティブに含まれる3つの港を除き、 商業船舶の運航は安全上の理由から一時的に中断されている。エネルギーインフラへの 損傷と、冬の間国民の暖房需要を満たすための優先的なエネルギー利用により、収穫後 の作業や食料加工・輸送に利用できるエネルギーが制限される可能性がある。

10. 黒海北部に向かう船舶の保険料の引上げや、戦争が保険でカバーされていないことにより、 すでに高い海上輸送費がさらに押し上げられ、食料の輸入価格が上昇している。

2.3 生産リスク

11. ウクライナでの戦争は現在も続いており、その先行きが不透明な中、同国の農産物セクタ ーへの被害は既に未曾有の規模となっている。戦争によるウクライナの農業分野の被害額 は 22 億米ドル(灌漑・用水、林業、水産業を除く)、損失総額は 283 億米ドル(2022 年 6 月 1 日現在※)と推定され、公共セクターによる復興・復旧には 10 年間で 187 億米ドルが必要 と試算されている。

12. 激しい戦闘と戦争の経済的影響により、冬作物の収穫が制限され、春作物の生産にもさら に影響が出ることから、2022 年のウクライナの穀物収穫量は平均水準を 33%下回り、合 計 5,100 万トンになると FAO は予想している。生産者価格の低迷に加え、エネルギー価格 の高騰やエネルギーインフラへの損害が、特に進行中のトウモロコシの収穫に悪影響を及 ぼしている。これらの要因は、限られた労働力、投入財費用を賄う資金の流動性の欠如、 借入の制約と相まって、2023 年の冬作物への期待も難しく、作付けは平均より 40%減少 する可能性がある。

13. 戦争により、ウクライナでは、商業ベースや小規模経営、そして庭先飼育など様々な規模で 行われている畜産業にも混乱が生じている。動物飼料、動物用医薬品、畜産物の輸送の ための通常のサプライチェーンは甚大な被害を受け寸断されている。治安状況や資源・人 員不足により、風土病や特にアフリカ豚熱(ASF)などの新興感染症への積極的または受 動的監視活動、実験室診断、抑制策は現在かなり制約されている。同国の停電、断水、ガ ス供給の停止は、家畜生産と関連バリューチェーン、動物病院や研究所に影響を及ぼして いる。

14. ロシア連邦では、戦争勃発後も、農業生産に大きな混乱が生じることは予想されていなか った。しかし、同国は種子や農薬などの投入財を輸入に頼っているため、これらの投入財 の輸入に支障が生じた場合、将来的に作付量や収量の減少、作物の品質の低下を招く可 能性がある。

2.4 人道上のリスク

15. 現下の戦争により、ウクライナにおける人道上のニーズが高まっており、2022/2023 年冬 季には状況が深刻化することが見込まれる。同国東部では8年以上も続いている戦争によ り、すでに避難を余儀なくされたり支援を必要としていた何百万もの人がより深刻な状況に さらされている。この戦争で農業生産が確実に減少し、経済活動が制限され、物価が上昇 することから、地域住民の購買力は一層低下し、食料不安や栄養不良が進むと考えられる。

16. 激しい戦闘がある程度同国東部にまで後退し、一部の住民は帰還したものの、ウクライナ からの避難民を受け入れている近隣諸国での人道上のニーズは大きく増加した。

17. 標的を特定した苛烈な砲撃により、ウクライナのエネルギーインフラは壊滅的な被害を受け、 国中で停電が発生し、すでに直面している人道的危機の状況がさらに急激に悪化している。 エネルギー価格の高騰により生活費は上昇し、最終的に食料不安の拡大につながってい る。

18. ウクライナの貧困層の大半は年配の女性とシングルマザーであり、女性を世帯主とする世 帯は男性を世帯主とする世帯に比べ、より食料不安に直面している。現在の戦争により、ウクライナで以前から存在するジェンダー間の不平等は拡大し、女性の失業者が増加する とともに、彼女らをインフォーマル経済へとさらに追い込んでいる。18 歳から 60 歳の男性 は国外に出ることが許されておらず、戦争が引き起こした住民の移動や難民の流れもまた、 ジェンダーに大きな偏りがある。2022 年3月 25 日までにウクライナから近隣諸国に逃れた 370 万人のうち、90%が女性と子どもであった。女性は国境で多くの困難に直面し、少数民 族はしばしば国を出ることができず、脆弱層は、教育、性と生殖に関する医療へのアクセス を含む医療サービス、安全で利用可能な避難所などのサービスやサポートを受けることが できず苦しみながら取り残され、障害を持つ人は見捨てられたり家族と離別したりするリス クが高い状況にあった。

19. 教育の中断は570万人の子どもに影響を与えており、母親が自宅で子どもの教育を担う傾 向にある。ロマの女性や女児も教育を受ける機会に関しより多くの問題に直面し、身分登 録の欠如により、人道支援を受ける機会が制限されている。また、身体的・性的暴力、拉致、 迫害など、安全上のリスクが高まっており、女性や女児の保護も懸念材料となってきている。

20. 食料や農業投入財の価格高騰の影響は、世界で最も脆弱な立場にある貧困層にも及んで いる。急性的な食料不安の予測によると、2022 年には、53 の国及び地域で 2 億 2,200 万 に上る人が食料危機または深刻なレベルの急性食料不安に陥ると予測される。これらの ほとんどの分析ではこの戦争の影響は考慮されていないが、現地での食料生産に強く焦 点を当てるなど迅速かつ持続的な人道的支援なしには、世界の食料安全保障の状況は 2022 年にさらに後退することが見込まれる。

2.5 エネルギーリスク

21. ロシア連邦は、世界のエネルギー市場の主要なプレイヤーである。農業は特に先進国にお いて極めてエネルギー集約型な産業であることから、この戦争に伴うエネルギー価格の急 騰が農業に影響を与えている。

22. 戦争により肥料やその他のエネルギーを大量消費する製品の価格が押し上げられ、最近 では少し価格は下がったものの、未だに高い水準にある。投入財の価格上昇は、生産コス トの上昇を招き、ひいては食料価格の上昇をもたらすと考えられる。また、投入財の価格上 昇によりその使用量が減少することで、2022/23 年期の収量や収穫を押し下げ、収量や収 穫の減少が更に続く可能性がある。これにより、今後数年にわたり更に価格が高騰し、世 界の食料安全保障の状況が悪化する危険性もある。

23. エネルギー価格の上昇により、特にとうもろこし、砂糖、油糧種子・植物油などの農産物が、 バイオエネルギーの原料としてより魅力的になっている。エネルギーの市場規模が食料の 市場規模より大きいことを踏まえると、食料価格はバイオエネルギー市場で求められる農 産物価格と同等程度まで上昇することが予想される。

2.6 マクロ経済のリスク

24. ウクライナでの戦争は、世界が既に直面していたマクロ経済上の課題を悪化させている。こ の戦争によって、世界の食料及びエネルギー価格は上昇し、さらに多くの不確実性が加わ り、世界の食料安全保障の状況、特に低所得国や脆弱な人々の状況を一層悪化させた。

25. 2022 年 10 月、国際通貨基金(IMF)は、世界の成長率が 2022 年の 4.4%から 2023 年に は 3.8%に下落すると予測した。さらに、世界のインフレ率は 2021 年の 4.7%から 2022 年 には 8.8%に上昇し、2024 年にやっと 4.1%に低下すると予測している。

26. ウクライナにおける戦争、世界的な生活費の危機、ほとんどの地域での金融条件の引き締 め、新型コロナウイルスの大流行などが、これらの動向を後押ししていると考えられている。

27. 世界のいくつかの地域における GDP 成長率の低下は、物価の上昇と相まって、食料と投 入財の輸入額に影響を与えたが、今後も農産物の世界的な需給に影響を及ぼし、世界の 食料安全保障と栄養の状況を悪化させると予想される。また、GDP 成長率が低いと、特に 軍事費が優先された場合、開発に充てられる資金が減少する可能性がある。

28. 2021 年 5 月以降、他の通貨に対する米ドル高が急速に進んでいる。米ドル高の背景には、 インフレ抑制を目的とした米国連邦準備銀行による利上げが大きな推進力として働いてい る。

29. 農業は多くの開発途上国にとって経済の屋台骨であり、これらの国の多くが米ドル建ての 債務に依存している。そのため、他の通貨に対する米ドル高は、農業食料セクターを含め これらの国に相当な経済的影響をもたらすことが予想される。

30. 世界銀行や IMF などの多国間債権者がこれらの影響を受けた国々を支援するため投入し た資金は、食料や投入財、エネルギーの価格上昇と金融条件の引き締めによる悪影響を 緩和する重要な役割を果たすことができる。

 

3 政策提言及び提案

31. ウクライナ及び同国の人々への支援は不可欠である。FAOはウクライナを支援するための 現地チームを強化した。FAO は、地方行政や商業的農業を営む農家を対象としたウクライ ナ全土におけるニーズ・アセスメントを実施し、また全国規模で農村部の世帯調査を実施し た。3月には、ウクライナにおいて的を絞った活動を実施するための緊急支援計画を策定し、 その後も同計画を更新している。

32. 戦争による食料・農業セクターへの被害を限定的なものにとどめるよう、食料や肥料の国 際的な市場や貿易を開かれたものとし続けるべくあらゆる努力が払われなければならない。 また、既存の作物や家畜、食品加工施設及びあらゆる物流網を保護する等、サプライチェ ーンが滞りなく機能し続けるよう留意しなければならない。

33. 農家への運転資金提供や戦後の復興・復旧作業を支援することが重要である。2022 年6 月末時点では、農業(灌漑・用水、林業、水産業を除く)における復興・復旧ニーズは、10 年間で約 187 億米ドルと試算されていた。FAO は、世界銀行や欧州復興開発銀行などの 開発金融機関と連携し、必要な資金の調達に引き続き取り組んでいく。

34. 食料輸入への依存度が高い国は、ショックの影響を吸収しレジリエントであり続けるため、 自国の食料購入のための輸入源を多様化し、自国への様々な輸出供給先を見出すことが 推奨される。また、既存の食料備蓄を活用し、自国の国内生産拠点の多様化をさらに押し 進めるべきである。

35. 深刻な食料不安に陥っている人のうち少なくとも3分の2は、農業を基盤に生計を立ててい る地方の農村の人々であることから、ウクライナ及び世界の人道支援は栄養価の高い農作物の生産拡大への支援と、農業をよりレジリエントにするための取組を優先しなければ ならない。この戦争が脆弱な人々の食料安全保障にもたらす影響に鑑み、苦しみを和らげ 速やかな回復を促すためにも、適時且つ的を絞った社会保護の手を差し伸べることが必要 である。

36. 戦争により直接被害を受けた国内避難民や難民、その他の人々へウクライナの社会保護 の手が行き渡るよう、ウクライナ政府の統合社会情報システム(Unified Social Information System)は未だカバーしきれていない人々へ対象を広げ、その人々を同システムに登録す るべきである。また、特に銀行口座を持たない人々や現在占領されている地域に住んでい る人々に社会保護の手が行き渡るよう、その提供メカニズムを強化するべきである。

37. 難民の受入国は、取扱い件数の増加に対処するため、法的な要件の免除や自国の社会 保障制度の対象を拡大する等、既存の社会保障制度や雇用機会へのアクセスを促進すべ きである。

38. 世界の国々は、自国が講じる貿易に関する措置が、国際市場や他の国に及ぼしうる負の 影響を慎重に検討しなければならない。とりわけ輸出規制は回避し、既存のものは撤廃す べきである。輸出規制は不確実性を増し、市場価格の変動を増長し、国際市場の緩衝能 力を制約する等、中長期的に深刻なマイナスの影響をもたらしうる。

39. 戦争で最も被害を受けた国々は、食料価格の上昇と食料輸入額の高騰に対応できるよう 支援されなければならない。FAO は、国際収支の問題を抱える国々を支援し、戦争が世界 の食料安全保障にもたらす影響に対処するため、世界食料輸入金融ファシリティー(FIFF) の設立を提案した。同ファシリティーを活用することで、脆弱な国々は自国の農業食料シス テムへの長期にわたる影響を緩和し、将来の緊急支援の必要性を減らすことが可能となる。 IMFが FAOの提案する FIFFに沿った新たな「食料ショック融資枠」を採択したことを、FAO は歓迎する。

40. 男性と女性、男児と女児(取り残された人々や避難民を含む)の異なるニーズと優先事項を 特定し対処することに特別な注意を払い、既存の不平等と女性及び女児が直面する様々 な形の差別に取り組み、ジェンダーに配慮した活動を立案する必要がある。

41. 地域レベルでの異なる地理的領域や人口集団の食料安全保障の状況に関する情報は、 適切な取組や活動を導く上で重要な鍵となる。FAO は、社会的保護支援に関しより的を絞 って対応するため、最も脆弱な国々において国及び地域レベルでの食料不安の状況を測 る指標を導入するための提案書を作成した。

42. 食料及び農業生産の効率を高めることは不可欠である。この観点から、以下の二つの政 策提言が大変重要である。まず、肥料使用時の無駄を削減し効率を上げるため、適切な技 術と合わせて、詳細な「土壌養分地図」を作成すべきである。同地図は、特に最も脆弱な国 が、他国の教訓を基に自国で肥料を効率的に使用する際の助けとなる。FAO は、3カ国に おいて詳細な土壌養分地図を作成するための米国の資金援助を歓迎する。FAO はまた、 現在の収穫年度や暦年ベースで、肥料の輸入ニーズの不足分、及び輸出可能な余剰分を 各国が測ることができる「肥料取引追跡データ(Fertilizer Trade Tracker)」と呼ばれるオン ライン・ツールを開発した。

43. 次に、食料ロス・廃棄を削減していかなければならない。現在、大量の食料ロス・廃棄が発 生しており、その量は1年で約 12.6 億人を養える分の食料に相当するだけではなく、環境にも多大な負荷をかけている。もし食料ロス・廃棄が 50%削減されれば、一日一人当たり 400g 摂取することが推奨されている果物や野菜を十分に摂ることができると予測されてい る。

44. アフリカ豚熱やその他の動物疾病の蔓延を封じ込めるには、早期発見、タイムリーな報告、 迅速な疾病の封じ込め、そして監視スキームや対象を絞った動物のサンプリング等ウイル ス検出のための対策を実施し、全ての生産及びバリューチェーンのシステムにおいてバイ オセキュリティと家畜管理の改善を図ることが必要である。

45. 市場の透明性の確保や政策対話は、特に農産物市場がより多くの不確実と混乱にさらさ れている際重要な役割を果たすため、強化されなければならない。政策決定を導き、国際 市場が継続的かつ適切に機能し続け、食料や農産物の貿易が円滑に行われることを確保 するためにも、市場の透明性は不可欠である。タイムリーかつ信頼できるデータや情報の 価値は、いくら強調してもし過ぎることはない。FAO は、G7 と G20 による農業市場情報シ ステム(AMIS)への支援を歓迎し、全ての AMIS メンバーとともに、同システムの役割と能 力を強化していく。

 

https://documents1.worldbank.org/curated/en/099445209072239810/pdf/P17884304837910630b9c6040ac12428d5c.pdf