FAO事務局長

屈冬玉(QU Dongyu) FAO事務局長
屈冬玉は、2019年8月1日、国際連合食糧農業機関(FAO)事務局長に就任しました。2023年7月2日に再選され、2期目(4年間)を務めています。
屈事務局長は、1963年、中国湖南省のコメ農家に生まれ、湖南農業大学で園芸学を、その後中国農業科学院で植物育種学と遺伝学を学びました。さらにオランダのワーゲニンゲン大学で農・環境科学の博士号を取得しました。世界的に著名な科学者の一人として、30年以上にわたり、国連システム、国際農業研究協議グループ(CGIAR)、国際金融機関(IFI)、民間セクターと緊密に協力し、飢餓の撲滅、栄養不良との闘い、貧困の根絶、天然資源の持続可能な保全に向けた数多くのプロジェクトやイニシアティブを策定してきました。
中央政府や地方政府の要職に就く前には、中国農業科学院の副院長や、400億ドル規模の中国長江三峡プロジェクト開発公社の人事部長などを歴任しました。
中国内陸の最も貧しい地域のひとつである寧夏回族自治区において副主席を務めた際には、貧困削減、防災、女性の地位向上、アグリツーリズム、さらには民族間の連帯を促進するため互いに学びあえるプラットフォームの構築を目的とした行動計画を策定しました。
FAO事務局長就任前は、中国農業農村部の副大臣を務め、包摂的で革新的な開発と農村部の情報通信技術(ICT)の活用を促進し、4億人を超える農家が新たな農業のツールとしてスマートフォンを活用できるようにしました。さらに、地域の農家のため、中国国内の農産物卸売価格の報告システムを改善し、各地の比較優位性を活かした100超の特産品産地を指定する国策も推進しました。
FAO事務局長としての一期目の任期中には、FAOの組織全体のビジネスモデルを精査するためさまざまな改革とイニシアティブを推進し、効率性の向上に加え、事業の実施と効果的な業務遂行に資するベスト・プラクティスの普及に努めました。
また、加盟国による持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援するという究極の目標のもと、誰一人取り残さないために、より効率的、包摂的、強靭かつ持続可能な農業・食料システムへの変革を積極的に提唱し、「4つのベター」、すなわち「より良い生産」、「より良い栄養」、「より良い環境」、「より良い生活」を推進してきました。
屈事務局長は、一期目の任期中、6つの主要なイニシアティブを立ち上げ、各国の現場で大きな成果を生み出しています:
- Hand-in-Hand Initiative
代表的な「ハンド・イン・ハンド・イニシアティブ」は、農業・食料システムの変革を加速させるために、各国が自発的かつ主体的に大きな目標を掲げたプログラムを実行することを支援します。先進的な地理空間モデリングと分析ツールを活用し、またパートナーシップを構築する力強いアプローチを通じて、貧困層や脆弱な人々の所得向上、栄養状態、福祉を改善するとともに、気候変動への強靭性を高めることを目的としています。 - 1000-Digital Villages Initiative
「1000のデジタル・ヴィレッジ・イニシアティブ」は、農村地域社会のために、農村部における情報通信技術を取り入れた農業(E-Agriculture)、電子商取引(E-commerce)、電子政府(E-governance)の普及を促進する取り組みです。人々がデジタル・イノベーションやその技術、サービス、ソリューションを適用、展開、活用し、連結性(connectivity)を高め、生計や一人一人の福祉の向上、社会的なつながりを生み出すことを目的としています。 - One Country One Priority Product (OCOP) Initiative
「一国一品イニシアティブ」では、小規模農家や家族農業の生産・流通・販売モデルが取り組みの柱となっています。各国の潜在力を活用し、農業生態学的生産システムや国家遺産・文化遺産に適合した、特色のある農産物(Special Agricultural Products (SAPs))を特定することで、安定した市場へのアクセスを向上させ、各国が定めた優先事項を達成するための重要な入口として機能するよう支援します。 - Green Cities Initiative
「グリーン・シティーズ・イニシアティブ」は、都市のグリーン経済を改善し、都市と農村の連携を強化し、外的ショックに対する都市の食料システム、サービス、そして市民の強靭性を高めることに重点を置いています。 - One Health Approach
「ワンヘルス・アプローチ」は、農業・食料システムの変革の一環として、人、動物、植物、環境の健康(健全性)のバラン スを取り、最適化する取り組みです。 ワンヘルス・アプローチは、動物とヒトとの間で伝染する病気の予測・予防・検出・制御、薬剤耐性(AMR)への対応、食品安全の確保、環境に係るヒトや動物の健康脅威の予防等を進める上で不可欠です。 - Blue Transformation Initiative
「ブルー・トランスフォーメーション・イニシアティブ」は、栄養価の高い食品の供給を増やすための要です。漁業や養殖業を通じ、飼料効率の改善をはじめとする資源の有効的な活用により、加盟国が食生活を多様化し、食料の入手可能性を高め、そして何よりも健康的な食事へのアクセスを向上できるようにするための取り組みです。
屈事務局長は、「アジアの魂」と「グローバルマインド」の融合を体現しています。座右の銘は「生活は簡素に、仕事は卓越したものを追求する」です。
既婚で娘が一人、孫が一人います。