FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

農業からの温室効果ガス排出は増加

農業や林業、その他の土地利用によって、10億トン以上の温室効果ガスが排出されている。
14/04/2014

FAOの新しい温室効果ガス推定値  によると、農林水産業からの排出量が過去50年間でほぼ2倍となっており、より一層削減策を講じなければ2050年までに更に30パーセント上昇することがわかった。
 
FAOが独自で農業・林業及びその他の土地利用(AFOLU)を起因とした世界の温室効果ガス(GHG)排出量における推定値を発表したのは、今回が初めてである。本報告は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表する第5次評価報告書に寄与した  。
 
穀物や家畜の生産から排出される農業部門の温室効果ガスは、2001年の47億トン(CO2換算)から2011年には53億トンへと14パーセントに増加した。増加は主に総農業生産が拡大した開発途上国で発生している。
 
一方、土地利用の転換や森林伐採からの純温室効果ガス排出量は、同じ10年間でほぼ10パーセント減少し、CO2年換算率で約30億トンとなった。これは、森林伐採量が減少したことと、多くの国で大気中の炭素隔離量が増えたことの結果によるものである。
 
農業・森林・その他の土地利用(AFOLU)による2001~2010年の間の平均排出量を下記に分類する:
 
・作物や家畜の生産からCO2換算で年間50億トン
 
・森林から他の土地利用への純転換(森林伐採の代用値として)によりCO2換算で年間40億トン 
 
・劣化した泥炭地からCO2換算で年間10億トン
 
・バイオマス燃焼により年間CO2換算で2億トン
 
上記の排出量のほか、この10年間で炭素吸収源である森林が大気から吸収した炭素隔離量は、CO2換算で年間約20億トンであった。
 
FAOの報告書を読む。
 
各国からの報告をまとめたFAOのデータによると、これらの排出量は上昇し続けてはいるが、他部門が化石燃料を使った結果排出される量の増加スピードと同様に増加しているわけではない。従って、人為的起源の総排出量に対してAFOLUが占める割合は、実際には時間と共に減少していることがわかる。
 
農業からの温室効果ガスの排出源
 
農業部門の中で温室効果ガスを最大に排出しているのは、腸内発酵-家畜が食べ物を消化する際に生成され、げっぷを通して放たれるメタンガスに起因するもの-である。これは、農業部門の2011年における総温室効果ガス排出量の39パーセントを占めた。2001~2011年の間、腸内発酵からの排出量は11パーセント増加した。
  
合成肥料を使用して放出される排出量は、2011年の農業温室効果ガスの14パーセント(CO2換算で7.25億トン  )を占めた。これは2001年以降から37パーセントも増加しており、農業部門でもっとも増加量の多い排出要因となっている。
 
水田での生物学的プロセスの結果に生じる温室効果ガス(メタン)は、農業部門の総放出量の10パーセントを占めている。ちなみにサバンナの草原を完全に燃焼したとしても、その5パーセントにしかならない。
 
FAOの資料によると、2011年の農業関連の温室効果ガス排出量の45パーセントを占めたのがアジア、続いてアメリカ(25パーセント)、アフリカ(15パーセント)、ヨーロッパ(11パーセント)そしてオセアニア(4パーセント)であった。しかし、1990年には、アジアの総排出量は(38パーセント)と、現在の値よりも低く、ヨーロッパははるかに大きかった(21パーセント)。
 
エネルギー使用における数値
 
また、今回FAOが公開した新しいデータは、電気及び農業機械、灌漑ポンプ、漁船を駆動するために使用する化石燃料を含む伝統的な燃料源から生成される農業部門でのエネルギー使用の排出量の詳細も提供している。
 
これらの排出量は、1990年以来75パーセント増加し、2010年にはCO2換算で785百万トンを超えた。
 
より良いデータは良い対応を導く
 
対応策を講ずるためには、排出量のデータと緩和策の両方において詳細な評価が必要である。例えば、FAOは既に各サプライチェーンにそった段階別の  評価を作成しており、畜産部門の包括的な緩和介入の有効性を分析している。
 
FAO気候・エネルギー・土地所有部  のフランチェスコ・トゥビエッロは、「FAOの新しいデータは、農業がどれだけ地球温暖化の一因となっているかに関して、これまで作られた中で 最も包括的な情報ソースを提供している。これまで情報の格差が、科学者や政策立案者が気候変動に対応する方策について戦略的な意思決定を行う上で大きな妨げとなり、農業部門の排出量を軽減するための努力を妨げてきた。
 
AFOLU活動の排出量に関するデータにより、加盟国はそれぞれの緩和策におけるオプションの特定がし易くなり、また、農民がより迅速かつ気候に適合した対応策がとれるようにできる。同時に彼らの全体的なレジリエンスと食料安全保障を改善する。各国は、国際間で気候変動対策のための資金を調達し、彼らの農村開発目標が達成できるようなる。
 
我々は、国レベルで、 これらの課題における能力開発に対する多くの関心があることを理解している。これらのニーズに対して、世界中の地域及び国レベルでの活動を通じて対応する。」と述べた。
 
IPCC報告書への貢献とFAOの活動
 
2012年に開設した排出量に関するFAOSTAT(FAO統計データベース)は初めて、現在まとめられているIPCCの第5次評価報告書に対し、農業・林業及びその他土地利用活動温室効果ガス排出量解析における重要な情報源となった。本日発表されたようなデータの更新や拡張は毎年行われる。
 
FAOSTAT排出量データベースは、ドイツ及びノールウェー政府からの資金提供によって開発された。
 
* CO2換算(又は、CO2 eq)は、地球温暖化係数に基づき異なる温室効果ガスの排出量を比較するために使用 する測定基準である   英文はこちらをご覧ください:http://www.fao.org/news/story/en/item/216137/icode/