国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

FAOは国際土壌年(IYS2015)をスタート -土壌は不可欠:人類の寡黙な同志である土壌とその直面するリスクに焦点を当てる

Photo: ©FAO/Olivier Asselin 健全な土壌は世界の食料生産に不可欠であり、幅広い環境サービスを提供している。
04/12/2014

グラジアノ・ダ・シルバFAO事務局長は、12月5日の世界土壌デーを目前にして、「世界の食料生産には健全な土壌が不可欠だが、この重要で『寡黙な同志』である土壌に対して我々は十分に配慮していない」と述べた。 

健全な土壌は、食料、燃料、繊維及び医薬製品の生産基盤であるだけでなく、炭素の循環、水の貯蔵と濾過、洪水や干ばつに対する回復力を向上させる上で重要な役割を果たすことにより、我々の生態系においても不可欠なものであることを指摘した。 

国連は、2015年を国際土壌年(IYS2015)に制定した。IYS2015は、この重要な資源の認識を高めそして推進するために、ローマ、ニューヨーク及びチリのサンティアゴにおける明日のイベントから始動する。 

FAO事務局長は、「今日、世界では8億500万人以上が飢餓と栄養失調に直面している。増加する人口を養うためには、現在の食料生産をおよそ60パーセント増加する必要がある。食料の多くは土壌に依存しているので、それを健全かつ生産的に保つことがいかに重要かは容易に理解できる」と述べ、「残念ながら、世界の土壌資源の33パーセントは劣化している。人類が土壌に与える圧力は臨界極限に達しており、土壌の本質的な機能を減少させ、時には消滅させている。 

2015年は、すべての人のために、すべての人による真の持続可能な開発に向かる道を開く重要な年であり、この1年をわれわれ全員が積極的な役割を担って土壌に関する運動を促進する年にしよう」と付言した。 

土壌-危機に立つ重要資源 

FAOは、浸食、圧密、土壌被膜、塩類集積、土壌有機物・養分枯渇、酸性化、汚染や、持続可能でない土地管理慣行に起因する他のプロセスが原因となって、全土壌の3分の1が劣化していると推定している。

新たな取り組みが採用されない限り、2050年の世界の一人当たり耕作可能地は、1960年の水準の4分の1になるとしている。 

土壌を1センチ形成するためには、1,000年を要する。世界の土壌資源の33パーセントが劣化している一方で、人的圧力も増加し、臨界極限に到達しているので、責任ある土壌管理が喫緊の課題であると、FAO事務局長は述べた。 

FAO事務局長は、土壌を「ほとんど忘れ去られた資源」と呼び、劣化した土壌の回復よりも安価であろう持続可能な土壌管理への一層の投資を要請した。そして、「投資は、食料と栄養安全保障の達成、気候変動適応・緩和、そして全体的な持続可能な開発のために必要である」と述べた。 

世界中の多様な生物の少なくとも4分の1が地下に生息している。例えば、そこではミミズ類は、細菌や真菌などの微生物と比較して巨大である。植物の根を含めたそのような有機体は、栄養循環を促進して植物の栄養摂取を助けるのと同時に、地上の生物多様性を支える上で、主要な仲介者としての役割を果たしている。

より良い土壌管理より、これらの普段は余り注目されない生物による土壌の炭素吸収機能が高まり、砂漠化が緩和されるので、さらに炭素を隔離することができる。このことにより、農業自体からの温室効果ガスの排出を相殺することができる。 

世界土壌マップの作成

FAOは、土壌に関する120以上のプロジェクトを世界で実施し、国連教育科学文化機関(UNESCO)と共同で世界土壌マップを作成した。最も緊急な優先事項としては、世界の土壌タイプと分布に関する情報を更新、規格化し、利用しやすくすることである。 

現在、土壌に関するデータは、非常に多くの場合古く、また調査地域も限られ断片的である。FAOの優先事項としては、世界土壌情報システムを確立して、土壌管理に関する意思決定に信頼できるデータを提供することである。 

FAOは、世界土壌パートナーシップ(GSP)の立ち上げを含む、一連のイニシアティブの主催者として活動を開始した。GSPはその運用部門として健全土壌ファシリティを立ち上げた。

国際土壌年(IYS2015)日本語サイト:http://www.fao.or.jp/publish/415.html

IYS2015事務局公式サイト :

http://www.fao.org/soils-2015/en/?utm_source=faohomepage&utm_medium=web&utm_campaign=featurebar

 

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